ワールドカップ 代表チーム

オリバー・カーンも驚嘆した史上最強の日本代表、西野ジャパンの功績

強豪ベルギー代表を追い込んだ日本代表 写真提供:Getty Images

 日本代表はベスト8に手が届かなかった。それは事実だ。相手のボールをクリアしきれなかった小さなミスの後にやや不運な形で失点を喫すると、勢いづく相手に対し試合のコントロールを失ってしまった。的確な選手交代で反撃に成功したベルギーに対し、日本はポーランド戦が証明したように先発の11人と同じインテンシティを保つための控えの駒を持ち合わせていなかった。

 それでも、この日本代表が日の丸を背負ってW杯に臨んだチームで最強だったことには議論の余地がないように思える。地元の後押しを受けた2002年はフィリップ・トルシエの不可解な采配もあってトルコに完敗を喫していることを考えれば、おそらく唯一比較の対象となるのは同じく決勝トーナメント1回戦で敗れた2010年の第二次岡田ジャパンだろうが、西野ジャパンは戦術的にその上を行き、初めて優勝候補と言えるチームを相手に互角以上の戦いを展開して見せた。

 確かにパラグアイとのPK戦は理論的には日本がベスト8進出に最も近づいた瞬間かもしれないが、先発のほぼ全員がヨーロッパでプレーする国際経験豊富な選手が揃い、勤勉さや規律といった「日本らしさ」を体現したベルギー戦は、日本が世界のトップレベルに最も近づいた試合だったと言えるのではないだろうか。そしてより大きな視点で見れば、初出場から20年となる今回のW杯は日本サッカーが着実に進歩していることを内外に示すものだった。試合のスコアとは裏腹に世界レベルとの絶望的に大きな差を実感した1998年からの道のりは常に右肩上がりではなかったが、今大会の西野ジャパンのおかげで日本サッカーは実験と挫折を繰り返しながら着実に世界のトップレベルとの差を縮めていると言うことができる。

 グループステージの第3戦で決勝トーナメントのために主力選手の半分を温存し、最良の結果を得るために1点ビハインドのまま試合を終わらせるような大会に対するマネージメントを日本が見せるなど、20年前にはとても考えられなかった。今回もベスト16の壁を越えることはできなかったが、西野ジャパンのパフォーマンスはベスト8、そしてその先の未知の世界に対する希望を与えるものだった。それが実現するのは4年後かもしれないし、20年後かもしれない。いずれにせよ日本サッカーが16年前、そして8年前よりも間違いなく前進していることを証明したという点で、W杯史上最高の日本代表となった西野ジャパンの功績は大きい。

著者:マリオ・カワタ

ハンガリー生まれドイツ在住のフットボールトライブライター。Twitter:@Mario_GCC

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