メンバーの固定と競争力の低下
ロシアでは先発メンバーを固定してきた弊害も明らかになった。2006年から指揮を執るレーブ監督は2014年W杯の主力選手に絶対的な信頼を置き、大会前から先発の11人は決まっているようなものだった。グループステージの対戦国からすれば、ドイツがどんな布陣を敷いてくるのか悩むことはなかっただろう。そしてメスト・エジルやトーマス・ミュラー、サミ・ケディラといった頼りになるはずの選手たちに、4年前のような輝きはなかった。
興味深いのは、『キッカー』が指摘するバイエルン・ミュンヘン勢の不振だ。主力選手の約半分がドイツのチャンピオンチームでプレーしているが、シーズン終盤にチャンピオンズリーグでレアル・マドリードに敗れ、DFBポカールでも優勝を逃したクラブの悪い流れがW杯にも及んでしまったというのだ。これはドイツ代表に限らず、ロベルト・レバンドフスキ、ハメス・ロドリゲスらもコンディションは万全には程遠く、一様に活躍できていない。ここ数年で国内での絶対的な一強の立場を強めリーグ戦で簡単に勝利を積み重ねるバイエルンの状況が、彼らの短期決戦における競争力を低下させているというのは考えすぎだろうか。
そして主力選手が精彩を欠くと、彼らの代わりに大舞台で輝ける新たなタレントもいなかった。ほんの1年前、Bチームでコンフェデレーションズカップを制した時には世界中がドイツの人材の豊富さに感嘆したものだった。たしかに選手層の厚さは間違いないが、それが上への突き上げに繋がったかと言えば必ずしもそうではない。主力メンバーにのし上がったのは結局のところティモ・ベルナーだけで、その他の選手はバックアップの顔触れを充実させたに過ぎない。プレミアリーグで活躍するリロイ・サネも親善試合でインパクトを残せず本大会のメンバーから外れたが、これは主力の固定されたチームへの組み込みに失敗したと見るべきだろう。
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