
もう一つの重要なポイントとなるのが、移籍に関する資金の流れの透明化だ。世界のトップレベルでは数百億円、そうでなくても数億円単位の金額が簡単に動く現在の移籍市場では、はっきりと把握されていない金の流れや資金洗浄の問題が指摘されている。これらの問題を解消するため、現状では国際移籍のみに使用されているトランスファー・マッチング・システム(TMS)を国内移籍を含むすべての取引に適応し、移籍に関わる人物と銀行口座を記録する方向で検討が進められている。さらに関係者の犯罪歴をチェックする仕組みも議論されている。
最後に、移籍により莫大な利益を得る代理人の活動の健全化もFIFAにとっては大きな課題となる。スター選手を顧客とする大物代理人は複数存在するが、中でもミノ・ライオラは2016年のポール・ポグバのユヴェントスからマンチェスターユナイテッドへの移籍だけで、実に4100万ポンド(約60億円)の手数料を稼いだとされている。選手を巨額で動かすほど代理人が大きな利益を得る状況に対し、なんらかの規制が必要だと考えるのは自然なことだろう。当然代理人側は規制に反発しており簡単には事は運びそうにないが、FIFAは代理人がクラブではなく顧客の選手から報酬を得ることを主張しており、なんらかの規則変更が実現する可能性は高い。
サッカーのビジネス化が加速する中で、巨大化し続ける移籍市場とそれに関わる不審な資金の流れに対する規制が必要なのは明らかであり、FIFAの対応は遅すぎるとさえ言えるほどだ。そもそもFIFA自体が財政的な健全性向上の問題を抱えているが、いずれにせよこれらの改革案が実現すれば少なくとも正しい方向への一歩と捉えることができる。またヨーロッパを中心とする各クラブは、急速な変化に適応するための柔軟な戦略の転換を強いられることになるだろう。
著者:マリオ・カワタ
ドイツ在住のフットボールトライブライター。Twitter:@Mario_GCC
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