このゴールもあってハンブルガーは3ヶ月ぶりの勝利を手にしたが、残念ながらシーズンの最終盤までチームの調子が上向くことはなかった。15試合白星から見放された後、シーズン最後の6試合で4勝を挙げたものの、最終的には勝ち点2の差でクラブ史上初の2部降格を味わうこととなった。鮮烈なスタートを切ったアルプもシーズン後半はU-19代表チームの活動に加えて、アビトゥーア(高校卒業資格に相当)のための勉学も両立させる必要があり、多忙の中で継続的に結果を残すことはできなかった。プロとしての初めてのシーズンは18試合2得点という結果で幕を閉じている。
残念な結末を迎えたハンブルガーの2017/18シーズンだったが、アルプの才能には疑いはない。かつて西ドイツ代表として活躍したクラブのレジェンド、ウーベ・ゼーラーはアルプがトップチームでデビューを果たす前の時点で「この少年は並外れた才能を持っている。このクラブにとって貴重な存在なので、チームが彼を適切に扱うことを願っている」と語っている。
フィジカルの強さと卓越したスキルをあわせ持つアルプは、ミロスラフ・クローゼ以来不在となっているドイツの新たなゴールマシーンへと成長するポテンシャルを十分に秘めている。しかし昨年のUEFA.comとのインタビューでは、自身の目標とする選手はドイツの11番ではなくイングランドの9番であることを明かしている。「彼(ハリー・ケイン)のプレースタイルは僕が理想としているものです。スピードがあって、ボールを持っている時もそうでない時も非常に自信を持ってプレーしている。彼を止めるのは難しいと思います」
同時にワールドクラスのストライカーの仲間入りを果たすためには、まだ学ぶべきとこが多いことも自覚している。「僕は優秀なストライカーに必要な全てを持っているけど、まだ左足の精度が理想的ではないし、ヘディングも改善しないといけないと思っています」
クラブの2部降格が決定し来年には契約が満了する今、アルプが今後どこで成長していくのかは不透明な状況だ。ドイツ国内の報道によれば過去8年間を過ごしたクラブとの契約を延長しないことを決断したとも言われ、移籍先にはバイエルン・ミュンヘンが挙げられている。ロベルト・レバンドフスキの代わりとなるのはさすがに時期尚早だが、アルプが数年後にドイツのハリー・ケインとして代表チームの前線に加わったとしても、それは驚くべきことではないだろう。
著者:マリオ・カワタ
ドイツ在住のフットボールトライブライター。Twitter:@Mario_GCC
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