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ラマダーン(断食)中にW杯を迎えた選手たち。尊重すべき個人の判断

5月15日から始まった今年のラマダン期(断食月)は6月14日まで行われる。イスラム教徒はその期間、日の出から日没まで断食を実行する。プロサッカー選手の中にも当然多くのイスラム教徒が存在し、ラマダーンへの対応が求められている。

ラマダーンは特別な理由があれば免除が認められており、その解釈は曖昧だ。断食の実行はあくまで個々の判断に委ねられている。そこで今回は各選手の判断を尊重し、ラマダーンへの理解を深めるためにも、有名サッカー選手の判断をご紹介したい。

モハメド・サラー

エジプト代表
所属:リバプール

今年のラマダーン期間中に当たる今月27日にUEFAチャンピオンズリーグ決勝を控えているサラー。
CL決勝の開催地ウクライナではキックオフの約50分前に日の入りを予定しているため、試合直前まで食事が出来ない状態で試合に臨むことになる。
エジプトのイスラム教最高指導者シャウキー・アラム師はサラーに対して断食の期間を後ろ倒しにすることを許可しているが、判断は本人に任せられた状態。
エジプト国内ではラマダーン続行の状態で決勝に挑むと報じられ、イングランド国内ではラマダーンを中断するとの報道も存在する。

サディオ・マネ

セネガル代表
所属:リバプール

セネガルもイスラム教徒が多く存在する国家の一つだ。サラーと共にマネもCL決勝直前まで食事を摂らずに試合に挑むことになると報じられている。

メスト・エジル

ドイツ代表
所属:アーセナル

オフを利用してメッカへ巡礼に出たほどの敬虔なイスラム教徒であるエジル。ラマダーンに対しては「夏はかなり暑いし、強度の高いトレーニングと試合をこなさなければならない。だから断食をするのは不可能だ」とコメント。シーズンオフに断食を実行しているようだ。

サミ・ケディラ

ドイツ代表
所属:ユベントス

エジルと同様に2014年W杯、EURO2016ではラマダーンを回避。チュニジア系移民であることを誇りをもち、国歌を歌わない選手としても有名だ。

ポール・ポグバ

フランス代表
所属:マンチェスター・ユナイテッド

2017年のオフにメッカを巡礼。「人生で最も美しいものを見た」と自身のSNSで報告している。EURO2016ではラマダーンを回避、イスラム法で許された食材や料理のみを食べるハラール食で対応していた。

エンゴロ・カンテ

フランス代表
所属:チェルシー

マリで生まれフランスに移住したカンテ。ポグバと共にEURO2016での代表招集期間はハラール食で対応している。

バカリ・サニャ

元フランス代表
所属:ベネベント

セネガルにルーツを持つサニャ。試合開催期間はハラール食で対応し、シーズンオフに時期をずらして断食を実行している。

フランク・リベリー

元フランス代表
所属:バイエルン・ミュンヘン

シーズン中ではなくオフに断食を行っている。2013年バイエルンのリーグ優勝セレモニーの際、リベリーはイスラム法で飲酒が禁止されているにも関わらず、同僚DFジェローム・ボアテングに背後からビールをかけられ、激怒した事件が起きた。「二度と話さない」とコメントしていたが、のちにノンアルコールビールであったことが発覚し、両者は和解している。

アルジェリア代表

MFソフィアン・フェグリ、MFリヤド・マフレズ、FWイスラム・スリマニら

前日本代表監督バヒド・ハリルホジッチ氏が率いたアルジェリア代表はイスラム教国家。ラマダーンを実行しながらもW杯ベスト16という好成績を残している。ハリルホジッチ氏は当時加熱していたアルジェリア国内でのラマダン報道に関して「これは個人的な問題だ。ラマダンについての質問は、敬意や倫理が足りない。私自身がイスラム教徒であり、ラマダーンについてはこれまで選手たちに一任してきた。これはプライベートな問題で、選手たちの表現の自由とも関係してくる」とメディアに対して苦言を呈していた。