Jリーグ 浦和レッズ

浦和レッズ巻き返しへの土台となる、日本代表2人を擁する堅守のメカニズム

G大阪戦の遠藤(左)とマウリシオ(右)のタックル分布図。〇が成功、×が失敗、□が中立を表す。

 一方、槙野智章と遠藤航を擁する浦和ディフェンスは今季リーグ戦で5回目となる完封を達成した。そもそも今年の浦和は守備が非常に安定しており、リーグ3番目の失点の少なさを誇っている(15試合13失点)。これは現在2位のFC東京と並ぶ数字であり、3位の川崎フロンターレ(12失点)ともほとんど変わらない。特にオズワルド・オリベイラ監督が指揮を執った直近のリーグ6試合では3失点、一度も複数失点を喫しておらず、勝ち点が伸びない中でもディフェンスだけは一貫してその堅さを保っている。

 この日も好セーブを見せたGK西川周作の活躍に加えて、マウリシオを含めた3バックのそれぞれの選手の長所を活かした攻撃的なディフェンスは注目に値する。特徴的なのは、中央に位置するマウリシオが頻繁に前に出てボールへチャレンジしていく点だ。ガンバ戦では最終ラインを離れてボランチのようにボールホルダーへプレッシャーを掛け、ボールを下げさせたり奪ったりすることも珍しくなかった。フィジカルに優れたブラジル人センターバックが積極的に体を寄せてくる状況は、相手からすればかなり厄介だ。

 もちろん槙野と遠藤はそのカバーリングを心がけており、ウィングバックが帰陣した状態であれば中央に絞って4バックを形成する。データ分析プラットフォーム『Wyscout』で各選手のガンバ戦のタックル分布図を見ても、マウリシオは自陣内の高い位置を含め比較的広いエリアで守備に当たる一方、ペナルティエリア内中央でのプレーは少ない。それに対し遠藤は自身の持ち場である右サイドと、ゴール前中央の2つの主な守備エリアがあることが分かる。これは槙野も同様で、相手にチャレンジするのはサイドの比較的高い位置かゴール前だ。

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