
長崎戦後半のガブリエル・シャビエルのパス分布図。ゴールに迫るようなパスはほとんど無かった。 写真提供:Getty Images
長崎は名古屋とともに昨季J2を戦ったチームだが、現時点では両チームの完成度には雲泥の差がある。長崎の選手たちが自身のこなすべきタスクを明確に認識してプレーしていたのに対し、名古屋は守備の混乱から前線のタレントの活かし方まで、選手たちがピッチ上で答えを探して試行錯誤しているようだった。ボールの支配時間は相手より10分間長い36分間、パスの本数も413本で長崎の277本を大きく上回ったが、それは必ずしも名古屋が試合を支配していたという意味ではない。
例えばファイナルサードに侵入するパスの本数は、長崎の112本に対して名古屋は107本で下回っている。さらにスルーパスも相手より4本少ない7本で、ボールを持ちながらも前に進むことはできなかった。シュートやクロスなどをカウントし、攻撃の危険度の高さを表す「アクション完了回数」は長崎の25回に対して名古屋は14回。これらの数字は名古屋のポゼッションの非効率性を如実に物語っている。
現在はまだJ1残留圏との勝ち点差は5ポイントだけだが、J1屈指の資金力を誇るグランパスが再びJ2降格を味わいたくないのであれば、リーグ中断期間中に大幅な改善が必要なのは明らかだ。その指揮を誰が執るべきなのか、クラブは難しい選択を迫られている。
著者:マリオ・カワタ
ドイツ在住のフットボールトライブライター。Twitter:@Mario_GCC
コメントランキング