Jリーグ 横浜F・マリノス

祝福されるべき横浜F・マリノスの発展途上な「ティキ・タカ」

著者:チアゴ・ボンテンポ(翻訳者:土屋一平)

 J1リーグ第9節、湘南ベルマーレとの一戦で決めた横浜F・マリノスの1点目の映像は、インターネット上で世界中の注目を集めた。地球の反対側に位置するブラジルでも、11人全員が参加して自陣から17本のパスをつなぎ、最後はウーゴ・ビエイラがゴールネットを揺らしたシーンを、多くの人たちが見たのだ。全体的な反応は驚きだった。15位のチームがあのようなプレーをやってのけたのだから。

 アンジェ・ポステコグルーは1月に監督に就任してから、マリノスのプレースタイルを完全に変えた。エリク・モンバエルツ前監督の、守備面のソリッドさを求める実用的なスタイルから、時折過剰なほどに大胆不敵で攻撃的なスタイルは、ゴールキーパーがスイーパーのように振る舞い、積極的にビルドアップに参加する。見る側からすれば楽しいだろう。その一方で、オフェンスは生産性がなく、常に攻撃にさらされたディフェンス、それによりネガティブな結果が積み上がり、チームは中位以下に沈んでいる。

「少しチームを整理しなければいけない。アンジェが志向するパスと動きのパターンと、必ず後方から攻撃を組み立てるスタイルに、選手たちは順応しなければいけなかった。そのために最初の3分の1シーズンは不安定なままに過ぎていったんだ。でも試合をこなすごとに結果は良くなるはずだよ」こう語ったのは、マリノスサポーターでありポステコグルー監督をオーストラリア時代から追っていた私の知人だ。この言葉は今シーズンの横浜F・マリノスに起きていることを、この上なく正確に表している。

『Football Lab』によるとマリノスは59.9%という、リーグで最も高い平均ボール支配率を誇っている。2位は川崎フロンターレの54.0%だ。しかし高いボール保持率を維持しているものの、チャンスには至らず、その結果ゴールが生まれていない。彼らのシュート数は119本でリーグ6位に過ぎない。さらに10節を終えた時点では12ゴールしか記録していなかった。

 守備はカウンターにさらされ続け、ミスを多く犯しすぎている。彼らは131本のシュートと17失点を許しており、これは下から3番目に悪い数字だ。間違いなく発展途上であり、改善の余地は大いに残されている。

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