ローマ時代とは異なる戦術的役割
リバプールでのサラーは、ローマ時代よりも攻撃の中心的な役割を果たしている。創出したチャンスの数は昨季の一試合当たり2.29から1.79へと減っているが、フィニッシュの数は大幅に増えている。ヒートマップは選手が試合中にどこで仕事をしているかを示すが、そこからもサラーの役割の変化を見ることができる。ローマでの最終戦、ジェノアとの試合のヒートマップを見るとサラーはほとんどの時間を右のタッチライン沿いで過ごしていた。対照的にリバプールでの最近の試合、ボーンマス戦のヒートマップは彼がよりピッチの内側でプレーしていたことを示している。
これらのヒートマップからは、サラーが相手のペナルティエリア内やその周辺でより多くプレーしていることも分かる。つまりクロップのシステムではサラーはローマ時代に比べて孤立しておらず、よりフィニッシュに重点を置いているのだ。これはペナルティエリア内でのシュート数(約59%)がエリア外からのシュート数(約44%)よりも大きく伸びている理由でもある。リバプールではローマ時代よりもゴールに近づく機会が多いことを考えれば、シュートの正確性が上昇したのもうなずける。
サラーのリバプール加入後の成績改善は、システムが重要な役割を果たす現代サッカーにおいて選手の才能を見極めるために戦術を考慮する重要性を示している。数字だけでは、選手が新しいチームで成長できるかは分からないのだ。プレミアリーグのクラブが夏の移籍市場で「次のサラー」を探す際には、選手だけでなく所属チームにも注意を払う必要がある。
著者:ブレア・ニューマン
イタリアとスコットランドのサッカーを専門とするフリーランスライター。『Tifo Football』などに寄稿している。
Twitter: @TheBlairNewman
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