代表チーム アルゼンチン代表

フアン・セバスティアン・ベロン、世界で最も才能豊かなジャーニーマン

ベロン

各クラブ在籍時のフアン・セバスティアン・ベロン 写真提供:Getty Images

 

優雅なプレースタイルの偉大な創造者ベロン

 それではなぜオールドトラフォードでベロンは機能しなかったのだろうか?それにはリーグのスタイルが関係している。結局のところ、ベロンの最高のパフォーマンスが見られた試合が、チャンピオンズリーグやプレミアリーグの上位クラブとのタフな対戦、つまり両クラブが「自分たちのサッカー」をしたときであったことは注目に値する。

 また、フィル・ネビルと中盤でコンビを組んだ時に、ベロンが力を発揮したことも特筆すべきだろう。ネビルは、ラツィオのマティアス・アルメイダのように、ベロンのそばですべての守備的負担を背負ってプレーしていた。

 しかしユナイテッドでは、ベロンは自ら汗をかいて中盤で仕事に励まなければいけなかった。そしてそれは機能不全に陥るレシピでもあったのだ。

 彼のピーク時は本当に偉大な選手だったため、これは本当に残念でならない。彼はパスの精度を常に一定に保ち、現在ポール・ポグバから見られるような贅沢さを有し、当時は優秀な創造者としてジネディーヌ・ジダンのライバルと目されていた。

 もちろん彼は2003年にユナイテッドでタイトルを獲得した。彼にとってそれは浄化と救済だっただろう。オールドトラフォードでの彼の苦悩と、ファンを失望させていることをどのように感じているのかについて、ベロン自身がオープンに語っているインタビューを読んだ記憶がある。それからというもの、私は彼について暖かみをもって考えるようになり、彼の足取りを、興味を持って追うことにした。

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