ブラジル大会への期待は非常に大きく、カルロス・バルデラマのようなレジェンドたちは1994年のアメリカでダークホースだったチームを上回る成績に自信を見せていた。しかし、ファルカオの左膝を悲劇が襲う。
2014年1月のクープ・ドゥ・フランスで受けた危険なタックルによりファルカオは手術が必要となり、ブラジルに間に合うかは時間との争いになった。30人の予備登録リストには入ったが、最終的に十分な状態ではないと判断され本大会のメンバーからは外れた。ぺケルマンはこれをコロンビア代表監督として最も悲しい決断だったとしている。ファルカオもまた悲しみに暮れていた。「非常に悲しく、心を打ち砕かれたことは否定できない」と彼は語っている。点取り屋不在でもコロンビア代表は好成績を残し、ハメス・ロドリゲスの活躍により準々決勝に進んだが、ファルカオの不在は常に「もし彼がいれば」という感情を残した。
4年が経過した今、ファルカオはついに子供の頃から夢見たサッカー最大の舞台に立つ用意ができているが、その道のりも簡単ではなかった。2018年ロシア大会に向けた南米予選はここ数十年で最も激しいものとなり、コロンビアも出場権の確保に大いに苦しんだ。個人レベルでは、ファルカオが膝の負傷からフィジカルとメンタルの両面で完全に回復するには2年以上の時間を要した。
イングランドで難しい時間を過ごした後、モナコへの復帰は彼にとって非常に良い結果をもたらした。今季はフランスでの29試合で23得点を決め、夏のワールドカップへ快適に準備を進めている。ハムストリングの故障で欠場することはあったが、3か月後のロシアには万全のコンディションで向かえるはずだ。
彼は今夏の大会を心待ちにしている。まるで夏休みにディズニーランドに行けるまでの日数を数える小さな子供のように、32歳のストライカーはその興奮を隠そうとはしない。「よくワールドカップで得点を決める自分の姿を想像している」と最近のFIFAとのインタビューで、彼は明かしている。「数えきれないほど頻繁にね!」
彼が実際にロシアで得点すれば、同じグループのポーランド、日本、セネガルは別として、世界中の人々が笑みを浮かべるだろう。21世紀最高のストライカーの一人でありながら、自身にふさわしい大会への参加を長い間待たなければならなかった彼は、待った甲斐があったことを証明するはずだ。
著者:Euan McTear
スコットランド、イングランドとスペインを専門とするグラスゴー出身ジャーナリスト兼ライター。スペイン紙『マルカ』、英紙『ガーディアン』、『ユーロスポーツ』などに寄稿。著書に『Eibar The Brave』がある。
Twitter:@emctear
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