後半にも76分に自陣内で味方がボールを奪うと、中島は小刻みなドリブルでためらうことなく前線に攻め上がった。相手ディフェンダー3人を引き付けると、中央のスペースに侵入したFWウェリントン・カルバーリョへパス。惜しくもゴールにはならなかったが、フリーの状態でシュートを打たせることに成功している。
初めて合流する日本代表のウイングでは通常より多くの守備のタスクも要求されるが、ハリルホジッチ監督もそれが中島の強みではないことは十分に理解しているだろう。ワールドカップ前の最終段階でチームに彼を加えたのは、戦術理解の不足などを補って余りある攻撃能力があるからと判断したからに他ならない。
ポルトガルでの中島のゴールシーンで目立つのは、カウンターからのスピードを落とさないフィニッシュだ。それはアシストの点でも同じで、ビトーリア・セトゥーバル戦のクロスもボールに追いつく前にゴール前の状況を素早く把握し、飛び込む選手のスピードを殺すことなくダイレクトで入れたものだった。
シュートであれラストパスであれ、中島はボールを前線に運ぶだけでなくカウンターを完結させるスピードと技術、判断力を持っている。今回のベルギー遠征でその能力を発揮できれば、ハリルホジッチ監督が秘密兵器として彼をロシアに連れて行ったとしても大きな驚きではないだろう。
著者:マリオ・カワタ
ドイツ在住のフットボールトライブライター。Twitter:@Mario_GCC
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