PSGは明らかにさびついて、準備不足のように感じられた。直近の国内リーグ6試合を合計19-6のスコアで連勝し、ウォームアップできていたはずなのに。1週間前の試合ではネイマールの4得点もありディジョンに8-0で大勝していた。昨季サプライズを起こしたモナコから最高の選手を強奪した彼らは、リーグ・アン優勝へ直進している(移籍市場はモナコを支えるロシアの支配者も、PSGの中東マネーにはかなわない事を証明した)。しかしヨーロッパのどのビッグクラブと比較しても遜色ないきらびやかでスターの溢れるチームであるにも関わらず、それにふさわしいパフォーマンスは従っていない。
これはPSGにとってパターンになりつつある。国内リーグは簡単に優勝できても、チャンピオンズリーグでは準々決勝の壁を越えることができない。これは国内リーグでの圧倒的な力が、カタールのソフトパワーとして働くというクラブの究極の目標を国際的な舞台で妨げていると言えるのではないだろうか。この状態が続けばPSGは、当初はそのネームバリューで絶賛されながら後年には一貫性のない金の無駄遣い、エゴの暴走による失敗作とみなされた『ビィ・ヒア・ナウ』(1997年のオアシスのアルバム)のサッカー版として認識されるだろう。
裕福なスーパークラブたちが多くの試合であまりに簡単に勝利を収める一方で、最も裕福なPSGは重要な時に勝利を「買う」ことができていない。スーパーリーグは理論的には全ての問題、少なくとも最も裕福な一部のクラブの問題を解消する。そしてサッカーの世界と日常生活にひとつ共通点があるとすれば、それは一部の金持ちにとって望みを叶えるのは簡単だという事だ。
著者:Alex Hess
スポーツと映画について執筆する、英紙『ガーディアン』のサブエディター。『Tifo Football』にも寄稿している。
Twitter:@A_Hess
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