プレミアリーグ マンチェスター・ユナイテッド

スター選手獲得を最優先する現代サッカーが生んだモウリーニョとポグバの確執

ポール・ポグバとジョゼ・モウリーニョ監督 写真提供:Getty Images

 最近ではこういった傾向は急激に消えつつある。こうした試合はずっとルーズになり、観客を楽しませる一方で技術的なクオリティは後退している。

 マンチェスター・ユナイテッドはPSGやマドリードではないが、そのビジネスモデルは似たところがある。彼らの選手獲得方針は競技面とは関係ない要素が関わり、最近のシーズンではチームにぴったりの選手は最も有名な選手とイコールだった。

 その点で、ポグバは興味深いケーススタディーだ。彼がやって来た2016年の夏、クラブの中盤は長らく改善を必要としていたが、ポグバは必ずしも必要なタイプの選手ではなかった。ユナイテッドに必要だったのは真のボックス・トゥ・ボックスの選手であり、可能な限り広範囲をカバーする名手だったが、実際にはフィールドの攻撃部分でのみ輝く選手に史上最高額の移籍金を支払った。

 それは秘密だったわけではない。ディディエ・デシャンがフランス代表でポグバを甘やかすことを拒否したのは有名だし、ユベントスでは彼自身が欠いているとして批判されてきた経験と規律ある選手にいつも囲まれていた。セリエAではどこで起用されても、彼の派手なプレーは素晴らしい3バック、欧州で最も経験豊かな2人のウイングバック、そしてその他の完成された中盤によって補完されていた。

 だからこそ、イングランドへの移籍は辻褄が合わないものだった。ユナイテッドは柔軟性のなさで知られ、決して個人プレーを許さないモウリーニョを招聘したのと同じ夏に、アドリブで最高の輝きを発揮する中盤の核となる選手を獲得したのだ。モウリーニョの過去のどのチームの中心選手とも違うタイプであり、いずれ信念の違いが表面化する可能性は高かった。

ページ 2 / 3