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「メッシ二世症候群」とそれに苦しめられた選手たち

 あなたは身長170cm以下だろうか?あなたは少なくとも「低重心」と表現される姿勢でボールを扱うか?気の向くままにドリブルする傾向はあるか?おめでとう。あなたに「草サッカーのメッシ」の称号を授与しよう。もしあなたが最近起こっている「ガールパワー」の運動について不思議に思う年代であればなおさらよい。あなたは「メッシ二世」だ。この記事の最後にマントを着ることになるかもしれないが、軽く羽織ってほしい。

 年齢は関係ない。去年の夏メッシ二世の称号を得る可能性のある候補者がリストアップされたのだが、その中にはエジプトのMFワリド・ソリマンも含まれていた。ソリマンは当時32歳だった。

 25試合しか代表キャップのない30歳過ぎのベンチ要員と、間違いなく歴代最高の選手を比較するのは、アディダスが難しい顧客のために「メッシ二世」のラベリングをしたいからだと言えよう。悲しいことに失敗したのだが。去年9月にイタリア人ストライカーのピエトロ・ペッレグリが欧州主要リーグで1試合2得点した初めての16歳以下の選手になった。そしてこの偉業を祝うためにイギリス「BBC」はジェームス・ホーンキャッスルにペッレグリのバックグラウンド・ストーリーの執筆を依頼した。申し分ないジャーナリストが書いたその記事は有益かつ客観的なものだった。しかし英国放送協会が望んでいた、ネット上で目を引くタイトルは「セリエAの記録を破っている“メッシ二世”」だった。

「メッシ」の名は記事のどこにも書かれていないので、あなたはこのタイトルを疑問に思うはずだ。さらにペッレグリは身長189cmの典型的なセンターフォワードであり、彼の潜在能力は疑いようのないものだ。そして彼は354分間しかプロとしてプレーしていない少年なのだ。

 若い才能に負担をかける強迫観念を嫌う理由はたくさんあるが、まずは浅瀬から歩き始めよう。膝くらいの深さのところではこのような筋書きのどこにでも存在する言葉に遭遇する。その言葉は「称号」だ。

 ほかの文脈ではほとんど使われない言葉だがここでは広く普及し、「…と称されるその選手は」と題され通常は最初の段落に配置される。一度神童と持ち上げられれば5度バロンドールを受賞した人物によって設定された基準にあてはめられ、落ちぶれることは避けられない。

 それは卑怯な言葉だ。責任転換であり、読者に「はっきりさせておきたいのは、私たちはホセ・アンヘル・ポソがメッシと同じレベルの選手だとは言っていない。私たちは単に他の人たちが言っていることを関連づけているだけだ。確かにこの適切な詳細を含んでいないことは私たちの落ち度である。」と言っているようなものだ。

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