セリエA第18節ミラン対アタランタが24日に行われた。同じロンバルディア州に本拠地を構えるダービーマッチは勝ち点24で並ぶ両クラブにとって負けられない戦いとなった。
この試合、ミランは出場停止処分を受けているチームの大黒柱スソ不在で戦うことを強いられた。ガットゥーゾ監督が選択したのは4-3-3のシステム。左のウイングには19歳のパトリック・クトローネ、右サイドにはファビオ・ボリーニを起用している。2トップの採用を訴えている元ミラン会長シルビオ・ベルルスコーニ氏の意向は反映されていない。
序盤、ボールを握ったのはアタランタ。高い位置からプレッシングを仕掛けボールを奪取しボールを回す。ミランは積極的なプレッシングを見せずに中央を固める入りとなった。試合のペースが変わったのは13分のプレーから。モントリーボが素早く縦にボールをつけ、中央に絞り受けたボリーニがサイドにワンタッチで振り、フランク・ケシエが間髪入れずにクロスを送る。二コラ・カリニッチの特徴をチーム全体で生かそうとする意志が見えた。このクロスのこぼれ球をジャコモ・ボナベントゥーラがゴールに詰めるものの、クトローネのハンドがVARの結果認められノーゴールの判定となる。しかし、このプレーをきっかけにミランがペースを握り始める。
高いプレスを仕掛けるアタランタは最終ラインも高く設定していた。ミランはアタランタからボールを回収すると前線の選手がすぐに裏を取る動きに入り、味方選手もそれを素早く察知。1本でチャンスを作り出す場面が増える。カリニッチがマーカーを引き付けスペースを作り、クトローネが中に侵入していくなどスソの不在を逆に生かすようなプレーも目立ち始める。
アタランタは押し返したい場面が続くが、ケシエの推進力やミランの全体としての前への志向の強さで押し込まれる時間が増える。しかし、30分にアレハンドロ・ゴメスがクトローネのファールを誘いゴール右30mほどでFKを獲得。これがゴールにつながり、アタランタが先制に成功する。ゴメスはアバーテとケシエの間にポジションを取りマークをあいまいにさせ、レオナルド・スピナッツォーラとポジションを中と外で入れ替え、逆サイドにまで顔を出すなどしミラン守備陣を試合終盤まで苦しめる存在となった。
試合は35分過ぎからオープンな展開を見せ始める。ミランはエリアの外側でボールを良く回すが、この時間帯は中の選手の動きの少なさが目立った。42分、カリニッチが本領を発揮。ロングボールから体を入れ替えて前を向くと右サイドからクロスを送る。しかし右サイドバックのハテブールがしっかりと中に絞ってブロック。素晴らしいプレーを見せた。ハテブールは54分にもチームを救うシュートブロックを見せるなど、この日良いパフォーマンスを見せていた。
前半はアンドレア・ペターニャのポストプレーが目立った。ボールを収めた際のレモ・フロイラーやブライアン・クリスタンテとの距離間が良く攻撃につながりやすく、アディショナルタイムに獲得したFKなどもこの関係性が如実に表れた。
前半は0-1とアタランタリードで折り返し、ハーフタイムに突入している。
迎えた後半の立ち上がりはケシエのダイアゴナル(斜めの動き出し)な動きがミランにチャンスをもたらした。カリニッチがボールを収めた際のケシエやボナベントゥーラの動き出しが早く、アタランタの守備ブロックを動かし枚数を増やしての効果的な攻撃を見せた。
55分頃からアタランタがボールをゆっくりと回し始め試合は膠着状態に入る。ミランは局面を打開するために前からプレスを仕掛けはじめ、結果的にこれがFKの獲得につながっている。64分、アタランタは直近3試合で4ゴールと好調のヨシップ・イリチッチを投入。イリチッチはカウンター時にはタメを作り味方選手の上がる時間を提供し、膠着状態ではボールを振って局面を打開するなど、明らかに違いを生んでいた。
67分、ミランがチャンスを迎える。右サイドでケシエがクロスを供給しカリニッチがフィジカルを活かして落とすとボリーニがシュート。カリニッチの落とし、ボリーニの距離感などミランにとって良い形での攻撃となった。
71分、途中出場のイリチッチが結果を残す。ショートカウンターから左サイドでクロスを上げるとイリチッチが合わせネットを揺らした。ボヌッチとリカルド・ロドリゲスの間に入り込みマークをあいまいにした素晴らしいポジショニングが功を奏している。このゴールからミランは完全にペースを失い、アタランタが主導権を握る。
75分、ミランはボナベントゥーラに代えてハカン・チャルハノールを投入。右サイドに攻撃が偏りロドリゲスが効果的に攻撃参加できていなかったこともあり、その点の改善が期待されての投入ではあったが、仕事を果たすことはほとんどできなかった。
ミランは81分にカリニッチとモントリーボを下げ、アンドレ・シウバ、ルーカス・ビリアを投入。ビリアが投入されたことで中央で起点を作り始めるも、前線とのつなぎ役であるチャルハノールが役割を果たせず効果的な攻撃には繋がらず。クトローネが中央に絞っていった際にもなぜかチャルハノールはエリア内に陣取っているなど、プレーに意図が感じられなかった。
その後得点が生まれることはなくミランはホームの試合を0-2で落とすことになった。縦に早いサッカーで一時は主導権を握ったミラン。運に恵まれない場面もあったがフィニッシュの精度を上げることは急務だろう。しかし、スソ不在の中で新しい一面を見せたことは次につながる収穫になったはずだ。
対するアタランタはコッパ・イタリアから中2日で迎えたミラン戦を2-0でものにする素晴らしい結果となった。選手の起用、ミランよりも効率的な点の奪い方、試合の運びなど経験豊富なジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督の手腕によるところも大きいだろう。次節カリアリ戦に向けチームに自信のつく勝利となった。
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