浦和は堀監督の元で、より守備重視のチームとなった。57,727人のサポーター達の前でもアル・ヒラル相手に出しゃばることなく、多くの時間ボールを持たずのプレーとなった。ホームの浦和はアル・ヒラルの試合開始時の緊張感を利用してチャンスを作り出す。しかしサウジアラビアのチームが少しずつ自信を取り戻していくと、危険な機会が増えた。30分もプレーしないうちに、浦和の左守備陣(槙野と宇賀神友弥)が警告を受ける。前半終了時までは、アル・ヒラルが優勢で60%のポゼッション率であった。
浦和のプレーはタフで、荒く、激しく、J1で見せていたものとはまるで違うスタイルだった。張り詰めた空気、時に敵意むき出しの環境もサウジアラビアチームを怖気づかせることはなかったが、彼らは浦和の守備を破ることができずにイライラし始めた。ウズベキスタン人の審判ラフシャン・イルマトフはアル・ヒラルに多くのイエローカードを出し始めた。試合78分には、6分前に警告を受けたサーレム・アッ=ドーサリーが、遠藤へのタックルで2枚目のイエローカードとなった。アル・ヒラルは1人を欠いて不利になるも、アタックをし続ける。サウジ・プロフェッショナルリーグでは13ヶ月負けなしの記録を持つチームだ。今年のACLでも負けてはおらず、諦めることはない。
浦和はすでに満足しているように見えた。しかし残り時間2分で、そこまで揺るがなかったアル・ヒラルのセンターバックでキャプテンのオサマ・ハウサウィが、紛れもないミスをしたのだ。武藤雄樹からラファエル・シルバへのパスをクリアし損ねた。ブラジル人選手ラファエル・シルバはこのボールを受けて大砲を発車し、それはGKアブドッラー・アル=マアユーフをすり抜けた。多くのファンに、2007年のACL決勝戦で永井雄一郎が決めたゴールを思い起こさせるシーンであった。
2008年以来どの日本チームも到達しなかった場所に昇りつめ、大きく称賛に値するのが浦和の守備だ。しかしラファエル・シルバもこのトーナメントで9ゴール挙げており(上海上港のフッキと同得点で、最高得点者オマル・フリービーンに1ゴール下回る)、彼が浦和のパズルの最後のピースであることを証明した。ようやく切望していたタイトルを獲得し、浦和は再び”アジアで1番”を称することができる。
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