ロニーが語り始めた。
「カーレース、サッカー、どのスポーツでもチームを管理することはとても複雑だ。特に代表の選手たちは毎日一緒にいるわけではないから余計にだ」
ロニーは空になったコーヒーカップを見つめこう続けた。
「ベントゥーラは素晴らしい人間だ。イタリア代表は素晴らしい監督を手にした。だけど、彼は70歳を迎えるというのに何一つタイトルを獲得したことがない。サポーター、きっと選手の中でも不安は広がっていただろう。マドリードでの試合の後に選手は監督を疑い始めたんだ」
マヌエルも同意した。
「監督にパーソナリティが無ければ、何かを勝ち取ることができるとは思わない。ベテランの選手たちは重要なプレーオフに勝つため監督と距離を取っていたんだろう。元選手としてイタリア代表の選手たちの気持ちがわかるよ。たくさんのお金をもらっているのに、明らかに自分の仕事ができていないということがわかると、選手たちはそういう気持ちになるんだ」
私もベントゥーラと彼を選んだイタリアサッカー協会にはがっかりしている。個人的に1番頭に来たのは、敗戦の後、ベントゥーラもサッカー協会の人間も誰一人として辞任しなかったことだ。ベントゥーラの言葉には何の謝罪の気持ちも感じなかった。「すべてのイタリア代表のファンに結果については謝罪します。ただ、一生懸命やりました」と彼は言った。まるで努力さえすれば結果はどうでも良いみたいに…
ロニーも私と同じ意見だった。
「言葉で“頑張った”というのは簡単だよ。だけど、プレーと結果を見れば200%の努力が必要だったと思う。20%しか努力していないように見えた。コンテ(現チェルシー監督、前イタリア代表監督)のような監督は“努力”という言葉をよく使う。だけど、彼はピッチ上や日常的な生活の中でもその姿勢を見せてくれる。ベントゥーラにはその辺が感じられなかったね。昔のように豪華なタレントがいない今、結果を残すには2016年のEUROの時のような頑張りを見せるしかなかった。そうしていればみんな納得できたはずだ」
マヌエルも無責任さを感じていたようだ。
「イタリアはとても難しい時期を過ごしている。サッカーだけじゃなく社会的にも経済的にも。ベントゥーラのような報酬をもらっている人間は、こういった歴史的な敗北の後には自ら身を引く選択をしてしかるべきだ。ここでもベントゥーラはパーソナリティを見せてくれなかったね」
たしかに、ベントゥーラは70歳になるがセリエAを9シーズンしか経験していないし、1度も優勝できていない。W杯で優勝を経験したり、チャンピオンズリーグにも出場した経験を持つブッフォンやボヌッチ、デ・ロッシのような選手たちを率いるのにふさわしいという考えは甘かったかもしれない。年齢の割に世界的に認知されていない監督を起用したことがきっかけになった。スペイン代表と戦わなければならないグループステージでは、この選択がとんでもない間違いになった。
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