イタリア人の憂鬱な昼下がり
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イタリア人の憂鬱な昼下がり 写真提供:Getty Images
今回はイタリア人サッカージャーナリストであるチェーザレ・ポレンギ氏が同郷のACミランアカデミー東京、テクニカル・ディレクターであるマヌエル・ベッレリ氏、日産自動車の専属ドライバーとして活躍するレーシングドライバーのロニー・クインタレッリ氏とイタリア代表のW杯敗退が決定した日に昼食を共にした際の小説風記事となっている。サッカーが文化レベルで浸透しているイタリア国民のリアルな意見を感じていただきたい。なお本文中ではチェーザレ氏視点で物語られていく。
語り手:チェーザレ・ポレンギ1968年イタリア・ミラノ生まれ。1994年、来日。2010年よりプロ・スポーツジャーナリストとして活躍。アジア各国の大手サッカー雑誌に数多くの記事を寄稿。200以上のサッカー番組に出演。2014年よりJリーグ公式のマッチレビュー及び、ハイライト番組の英語コメンテーターを務める。現在はFootball Tribeを立ち上げCEOとして活躍している。
Twitter: @CesarePolenghi マヌエル・ベッレリ
1977年イタリア・ブレシア生まれ。17年間のプロサッカー選手キャリアを持ち、7年間をセリエAでプレーした(ラツィオ、アタランタ、ボローニャ、ウディネーゼ、レッチェ、SPAL他)。セリエAからセリエCで通算400試合に出場している。現在はACミランアカデミー東京でテクニカル・ディレクターを務める。 ロニー・クインタレッリ
1979年イタリア・ヴェローナ生まれ。プロのレーシングドライバーとして活躍しており、2003年からは日本に活動の場を移した。2007年には「フォーミュラー・ニッポン」で初優勝を飾る。2008年からは日産専属のドライバーとなり4つのタイトルを獲得。スーパーGTで最も多くタイトルを獲得した選手となった。日本人女性と結婚し、現在はモータースポーツの普及、人材育成に注力している。大のサッカー好きとして知られている。
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イタリアの主要な新聞の一面はW杯敗退のニュースで埋め尽くされた 写真提供:Getty Images
今までのイタリア代表の功績を知る者にとっては当然のことだが、2018年のロシアワールドカップにイタリア代表が出場できないことはイタリア人にとってショックな出来事であった。未だに信じることの出来ないスウェーデン代表との0-0に終わった試合の後、私は2人の親しいイタリア人の友人、マヌエル・ベレッリとロニー・クインタレッリと共に、贔屓にしている六本木のミッドタウンにあるイタリアンレストラン「ナプレ」で、今回の敗北について冷静に考えようとした。
席について長く続いた沈黙を破ったのはマヌエルだった。彼は今回の残念な結果を分析しはじめた。
「チーム、監督、イタリアサッカー協会…みんなの責任だ。今までの試合は勝ってこれたが結局は負けてしまった。完全な失敗だ」
続けてロニーも口を開いた。
「スペインと同じグループに入ったときは苦戦を強いられだろうと考えていた。だけど、まさかスウェーデン代表の手によってW杯の舞台から去らなければいけなくなるとは考えもしなかった。失望しているよ」
確かにスペイン代表に負けてからというものイタリア代表は混乱を見せていた。監督抜きで選手たちがミーティングを行ったことにより、ベントゥーラ(イタリア代表監督)の役割が疑われ始めた。恥じるべき出来事もたくさん起こった。インシーニェ(ナポリ所属MF)は、自身がインサイドハーフとして起用されたことに驚いたチームメイトに試合中にもかかわらず事情を説明しなければならなかった。デ・ロッシ(ローマ所属MF)は途中出場を断り「ゴールを奪えるもっと攻撃的な選手を投入しろ」とベントゥーラに言い放った。
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