本田圭佑はピッチの内と外でメキシコ市民の心を掴む
著者:セザル・ヘルナンデス
メキシコ代表、メキシコリーグ、国外で活躍するメキシコ人選手の取材を得意とするフリーランスジャーナリスト。『ESPN』『FourFourTwo』『FutMexNation』『Soccer Nation』に寄稿している。
Twitter: @cesarhfutbol
日本代表FW本田圭佑が所属するパチューカは現地時間の27日にクルス・アスルと対戦した。
クルス・アスル戦でははじめ、パチューカにとって本田圭佑の存在はいらなかったと感じてもおかしくない内容となった。本田がベンチスタートとなったチームは前半のうちに2-0とリードを奪った。パチューカは効果的にカウンターを仕掛け、ビクトル・グスマンとエドソン・プッチの早い得点によってクルス・アスルがパチューカを止めることは不可能にみえた。
リーグ戦で3連敗を喫してから、パチューカの積極的な采配をみるのは新鮮な気分だった。しかしながら、現在“挑戦者”の身が続くパチューカにおいて、本田が多くの出場機会を得る可能性は減少している。パチューカのサポーターにとって、本田の最近のパフォーマンスを覚えている必要はあっても、そこまで昔の姿を思い出す必要はない。これまでの3試合での本田のパフォーマンスは悪くはないものだったが、ファンの期待に応えているとはいえなかった。
パチューカの素晴らしいパフォーマンスによって、ディエゴ・アロンソ監督は本田を投入することでチームの勢いを途切れさせることができなかった。結局、最終的に本田はピッチに足を踏み入れたものの、投入は82分まで待たなければならなかった。
本田がピッチに投入されてから4分も経たないうちにグスマンが2点目のゴールを決めた。途中出場を果たしたポジション争いのライバルに対してのメッセージだったのかもしれない。そしてアディショナルタイムに入ってから1分、すでに勝利が決定付けられたパチューカに本田が見事に華を添えた。日本代表のキーマンはカウンターからディフェンダーとの1対1に勝利し、左右の鋭い振りから相手を振り聞いた。十分にスペースを得ることができた本田は冷静にシュートを放ち、自身のリーガMXでの2ゴール目を記録した。
『ESPN』の解説者ヘルクレス・ゴメス氏は、「前回の試合では批判を浴びたが、今夜はわずか数分間でゴールを決めた」と本田を絶賛した。彼のスーパーゴールは同日に行なわれた試合のなかでもベストのものだったかもしれない。今回の結果を受けて、パチューカの中盤のスタメン争いにはますます注目が集まるだろう。グスマンと若手のエリック・グティエレスも活躍したが、本田はわずか数分間で輝きをみせた。
最近の本田はピッチ内よりもピッチの外でインパクトを残している。先週の大地震に対して、日本のスーパースターは自身のTwitterで赤十字へ50万ペソ(約311万円)の寄付を発表した。
この寄付に対して現地メディアでは次々と「本田圭佑とメキシコが共感」「大きなサポート!」といった見出しが踊った。こういった慈善活動をメキシコの市民は忘れることはない。紳士的な行動、クルス・アスル戦でのスーパーゴールでファンの心を掴んだことは間違いないだろう。
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