Jリーグ ジュビロ磐田

中村俊輔は39歳でもJリーグNo.1の一人であり続ける。“残酷な退団”が磐田、横浜FM、俊輔の全員にとって幸せの移籍となった理由

 中村のアシストは間違いなく彼のプレーのハイライトとなったが、ボール配分と守備意識もまた一流であった。C大阪のカウンター攻撃が展開されると、中村はフィールドの半分以上をも全力疾走し、相手DF丸橋祐介からの避けられないと思われたゴールを決定的に対処して防いだ。同試合でのフィールド走行距離は、中村は3番目(10,981m)で、C大阪MF山口蛍(11,279m)と川辺(11,101m)に次ぐ。素晴らしい身体コンディションの中、中村は現時点ですでに過去2シーズンの出場試合数を上回っている。

中村俊輔の過去3シーズンの記録:
2015年(横浜FM):19試合出場、15先発、3ゴール、5アシスト
2016年(横浜FM):19試合出場、17先発、4ゴール、5アシスト
2017年(磐田、第23節時点):20試合出場、20先発、3ゴール、7アシスト

 しかし強調しておく必要があるのは、磐田にとって良いシーズンとなっている理由は中村だけではないということだ。昨年まで彼らの弱点であった守備だが、現在は下から2番目の失点数で、名波浩監督が実施した3-4-2-1が効力となっている。この44歳の若い監督は、珍しくも選手としても監督としても成功しているクラブの偶像だ。体制は浦和レッズで批判されたものと同じだが、アプローチが全く異なり、選手は戦術体制における複数のポジションで才能の欠如を補うことができる。ボール平均支配率は44%とJ1で4番目に低く、磐田はリアクティブサッカーと呼べるプレーでの成功を見出した。中村だけでなく、大井健太郎、クシシュトフ・カミンスキー、川辺、ファズィル・ムサエフ、川又、アダイウトンらが、素晴らしいシーズンを生んでいる。

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