Jリーグ 川崎フロンターレ

鬼木フロンターレは風間フロンターレを超えられるか。謎の存在から優勝候補に化けた“革命家の後釜”を分析する

 しかし、川崎Fの最大のサプライズは、なんと言っても阿部である。移籍前のG大阪では常にウイングでプレーしてきたミッドフィルダーだが、阿部は川崎にてゼロトップ(偽9番)の役割で輝き、自身の本当の才能を見つけた。これまで彼は1シーズンにこんなにたくさんのゴール(9)とアシスト(6)をしたことはない。鹿島戦でも阿部は決定的で、最初のゴールにはフェイントで関わり、2点目のゴールを決めた。エウシーニョが鹿島の遠藤康を股抜きし、登里享平が阿部にレイオフパスをした後だった。チームを去った大久保嘉人とは大きく異なる選手だが、阿部のおかげで大久保の不在も痛手ではない。

 同じく痛手とはならなかったが、少なくとも同試合のスターティングメンバーに不在となったのは、2017年の川崎Fのキープレーヤー小林悠だ。中村からキャプテンの腕章を受けて以降、チームで最も輝くスターである。彼は未だ怪我からの回復中で、今シーズン初めてのベンチスタートとなった。しかし後半には出場し、カウンターアタックを補助する活躍をした。特には、3点目のゴールにおける家長へのパスであった。阿部がベストイレブンの有力候補だとしたら、小林はMVPの夢を抱くことができる。日本代表チームへの復帰ももちろんだ。

 川崎Fは鹿島の優位に立ち、むしろ大きな余裕をもって勝利することができた。3点目のゴール後も4点目に向かった積極的な攻撃を続け、現チャンピオンをフィールド上で絶望的にさせた。12節でも川崎Fは鹿島を3-0で下しており、このような戦績は2度目となる。今回は鹿島のほぼ3ヶ月ぶりの敗北で、大岩剛監督就任以来負けなしの記録を止めた。

 では冒頭の疑問に戻ろう。鬼木フロンターレは風間フロンターレを超えただろうか?まだ超えていないが、現在そこに近いと言える。正直に言って、どの部門においても後れを取っているとは思えない。鬼木監督は風間監督のような全面攻撃のプレーはしないかもしれないが、彼のカードはよりバランスのとれたチームにすることである。通常、守備で苦しむことはなく、攻撃でも積極的にプレーできるスタイルだ。クラブ史上初の大きなトロフィー獲得を達成するためには、川崎Fは最後までこのペースを維持する必要がある。そして最も重要なのは、最終戦で崩れるというトラウマを克服しなければならない。

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