ジュビロ磐田 アジア

Jを席巻するC大阪の“リアクションサッカー”。世界的な堅守速攻の波が日本にも押し寄せるか

“平凡”なだけではない効率的スタイル

柏レイソル相手に勝利を収めたセレッソ大阪 写真提供:Getty Images

 しかしこのスタイルを平凡でシンプルなものと混同しないよう注意してほしい。現在C大阪は、ジュビロ磐田と横浜F・マリノスに続く総失点が3番目に少ないチームであるだけでなく、浦和レッズに次ぐ総得点2位の攻撃記録も持っている。

 昨年はJ2で4位に終わったC大阪と、現在のチームとの違いは何か。スターティングメンバーを比較してみると新しい選手は2名のみだ。DFマテイ・ヨニッチとMF水沼宏太である。水沼は負傷した清武弘嗣のポジションでプレーしており、今季の大型補強選手はまだ主役にはなっていない。良い監督がチームで実践するもう1つの決定的な違いは「バランス」がキーワードであることだ。

 浦和にはこの「バランス」が欠けている。平均ボール支配率は最高(60%)で、C大阪より8ゴール多く決めているチームだが、守備の記録は下から5番目だ。下位のアルビレックス新潟と対戦したホーム試合は楽に勝つとされていたが、危うく悪夢になるところだった。

 新潟戦で浦和は、いつものようにカウンターを介して最初に新潟に得点を許した。最後20分で2得点を挙げて、なんとか勝ち点3を獲得することができた。またしても訝しげな試合となったが、少なくともミハイロ・ペトロビッチ監督にかかるプレッシャーを明らかにした。同監督は先週、今節から連勝できなければクラブを去ると公言した。

 プレミアリーグのアーセナルで21年となるアーセン・ベンゲル監督の例を挙げるペトロビッチ監督は、埼玉に滞在して10年になる。約束を守るためには、7月22日にヤンマースタジアム長居で行われるC大阪戦に勝たなければならない。日本で最も積極姿勢のチーム浦和と、最も効率的なリアクションサッカーのC大阪。相対する2つの戦術の衝突となるだろう。


 

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