クオリティと経験でずば抜けたスペインを下したドイツ
決勝点となったバイザーのゴールは、ドイツ代表が数多くのチャンスを作り出した結果たどり着いたものだ。シャルケのMFマックス・マイヤーのサイドバー直撃のシュート、 ボルフスブルクのMFマクシミリアン・アルノルトの決定的なシュート、 ベルダー・ブレーメンからバイエルン・ミュンヘンへ移籍したMFセルジュ・ニャブリの力の弱いシュートなど、スペイン代表を攻め立てていた。
ドイツ代表は決勝の90分でスペインを上回ったが、グループリーグでも絶対的な強さを誇ったわけではない。スペイン代表は決勝トーナメントに入ってからイタリア代表との準決勝まで、常に多くのサポーターを沸かせている。しかし、ドイツはそうではなかった。グループリーグ3戦目でイタリア代表に敗れ、準決勝でイングランド相手にPK戦まで持ち込まれている。現在のU-21ドイツ代表指揮官シュテファン・クンツ監督はUEFA欧州選手権1996でドイツ代表としてプレーした時のように、今回もなんとかイングランド代表を倒したのだ。
カイザースラウテルンからハンブルガーSVへ移籍が決まっているゴールキーパーのユリアン・ポラースベックのソックスに隠されていた、PKを蹴るスペイン代表選手の癖をメモ書きしたものはかなり役に立ったようだ。2006年のFIFAワードカップドイツ大会、ドイツ代表対アルゼンチン代表戦で(当時)アーセナルのドイツ代表GKイェンス・レーマンは同じことをした。ポラースベックはカイザースラウテルンでプロ一年目のシーズンを終えた直後だが、自らの長所を見せつけ次のシーズンに向けてハンブルクへの移籍を勝ち取っている。スペインとの決勝でピンチは一つしかなかった。5ゴールでこの大会の得点王になったサウール・ニゲスの後半のシュートだ。
5回目のUEFA U-21欧州選手権のタイトルを狙っていたスペイン代表はプレーのクオリティとインテンシティでドイツを上回ったが、最も大事な決勝で勝てなかった。ドイツはスペインのリズムを乱し、バルセロナのMFジェラール・デウロフェウとレアル・マドリードのMFマルコ・アセンシオの自信を潰した。この2人はいいパスをもらえなかった上に、最初から思うように試合のリズムを掴めなかった。スペイン代表の選手たちは、チャンピオンズリーグで合わせて72試合に出場している。クオリティと経験でずば抜けたタレントの揃ったチームだが、チャンスを見逃してしまったのだ。
ドイツ代表の優勝はこの時代において他の国と比べ物にならないモデルケースになるだろう。ドイツ代表は強力な同年代の選手2人抜きで優勝できたのだ。一人はボルシア・メンヒェングラートバッハで育成を重ね、ボルシア・ドルトムントの素晴らしいプレーメーカーと期待されているMFマフムド・ダフード。もう一人はRBライプツィヒからヘルタ・ベルリンに移籍するFWダビー・ゼルケだ。
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