【トリム杯】女子代表監督としての1年目を終えた木暮賢一郎監督「蒔いてきた種が少しずつ花を開き始めた」

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[3.17 トリムカップ2019決勝
日本選抜 0-4 兵庫県選抜 ビーコン]
日本女子選抜は17日に行われたトリムカップの決勝で、兵庫県選抜に敗れて準優勝に終わった。昨年、アルゼンチンで開催されたユースオリンピックで銀メダルを獲得した選手たちを中心に構成された今回のチームは、今大会中にも成長を見せた。

昨年のこの大会から、本格的に女子代表監督としての活動を開始した木暮賢一郎監督は試合後、決勝戦での戦い方について、A代表での戦い方にシフトしていく意図があったことを明かし、自身が就任してから1年での成果についても口にした。

以下、決勝後の木暮賢一郎監督のコメント
――今大会で一度もなかった引いて守る戦い方で決勝に臨みました。どのような意図だったのでしょうか?
木暮 大きくは2つあって、人数的なものからくる連戦の疲労を考慮したことが一つ。もう一つは相手をしっかりリスペクトしたうえで、試合前に選手たちに話をしたのは、ユースオリンピックの準決勝のスペイン戦で勝った守り方、ライン設定はハーフだけど、そこから強度を高く押し上げていく。その守り方はA代表でもポルトガルの2試合目、ユースでも強い相手とやるときに機能していた印象がありました。理由はその2つです。そして、ここまでやっていた前から行く守備を多角的に見たときに、入りとしてはそれがいいのかなと思って使いました。

――ユースオリンピックの時は早い時間に失点してしまいました。今回の立ち上がりはしっかり守ることができて、相手もボールを持たされている感じになっていました。
木暮 イヤがっているなというのは、感じられましたね。結果的に前半を終えた時点で0-1でしたが、スペイン戦でも負けていましたが、スコア的にはプラン通りでした。後半もそういった部分を再確認して臨みましたが、点差を離される展開になってしまいました。

――次に彼女たちが集合するのは、フル代表の時だと思います。宿題としてはどんなものを持って帰ってもらいたいですか?
木暮 いろいろありますけど、終わったあとに選手たちに伝えたのは、「今回はあえてパワープレーをした」と、その背景を説明しました。それはなぜかというと、彼女たちは初日から、U-18というカテゴリーではなく、日本選抜という実態は若手中心というのもありますが、ユース五輪の最後にも言いましたが「次に会うのは、A代表だよ」と、A代表に入るようにというメッセージがありました。今回も、そういうコンセプト。呼んでいる選手としては、ユースオリンピックの選手ではありますが、A代表を目指してもらう。そういったチームが、パワープレーをやるかやらないか。もちろん、監督によって考え方はあるとは思いますが…。

――木暮監督はやりますからね。
木暮 はい。やりますね。ただ成長だけを見れば、あきらめるとは違いますが、最後に若い選手をたくさん出すとか、そういうこともあります。しかし、代表チームで戦う以上は、最後の最後まで勝つためにあがく、努力するという姿勢を求めたい。今回はパワープレーという選択をして、出た選手、出られなかった選手がいましたが、こういうものだと伝えました。そのなかで、出場時間を獲得するとか、悔しい思いを含めて経験をしてもらい、次につなげてもらう。当然、パワープレーをやらないに越したことはありませんし、好きか嫌いでいえば、好きなわけではありません。戦略としては必要ですし、そういうものを肌で感じてもらう。ユースの時は一緒にやりましたけど、そういう経験はありませんでした。基本、きっちり全員が同じような時間を出るというなかで、代表はそういうときもあるよと。

――そういうメッセージを伝えられたわけですね。
木暮 そうですね。そこを感じたうえで、さらなる努力があると思います。今回の経験をバネに、糧にしてもらいたいです。

――今回で、木暮監督が率いるという意味では、女子の活動は空きますね。
木暮 決勝の相手が兵庫県選抜だったことを合わせても、自分が就任して約1年、昨年のトリムカップに日本選抜の監督で出場して、レセプションパーティーの時にラージリストの選手を集め、自分のほうからメッセージを発信し、そのあとにタイでのAFC女子フットサル選手権があり、1年のなかで自分の発してきたメッセージ、活動があり、そこで蒔いてきた種が少しずつ花を開き始めたりとか、可能性を感じることができています。

――まだ1年なんですね。すごいスピードで来た感じもしますね。
木暮 今大会で3位に入った大分の10番の斉藤結も、「頑張りたい」と面談した時も話していました。17番の13歳の子(吉野陽菜)は、埼玉での女子Fリーグの埼玉セントラルを見に行った時、大分から見に来ていました。その時に話をして、手紙をもらったんですが、「フットサル日本代表に入りたい。大分でやっています」ということを伝えてくれました。「頑張ってね」と伝えていましたが、今回、再会できたのは嬉しかったですし、兵庫県選抜などには、タイで一緒に戦った選手たちもいました。彼女たちも贔屓目なく、非常に成長しているなという印象を受けました。活動はありませんが、絶え間なく、見えないところでメッセージを発信し続けたりしたいなと思っています。そういうところは、20年前の男子フットサル界と似ているところがたくさんあります。

――確かに。トリムカップでの選手発掘は、当時、全日本選手権でいろいろな地方の若い選手が見られたのと似ていますね。
木暮 そういう意味で、フットサルにかかわる選手はもちろん、各地域の指導者、監督、全員で協力をして、一つの方向に向かうことがすごく大事だと思います。そういうものを2年、3年、4年と続けていきたいと思います。