Jリーグ 川崎フロンターレ

J1リーグの首位でありながらACLではその力を発揮できない、川崎フロンターレの二面性

 2018年シーズンの川崎フロンターレは、全く異なる形で二つの大会をスタートさせた。AFCチャンピオンズリーグでは、4試合で1分け3敗とグループステージ敗退が濃厚だが、J1リーグでは4試合で3勝1分けと首位に立っている。同クラブが何を優先しているのか、この結果から見えてくるだろう。

 フロンターレがACLを捨てていた訳ではない。少なくとも開幕時点では。彼らはフッキ有する上海上港を相手に、0-1で敗戦したホームでの開幕戦にフルメンバーで挑んでいた。そのあとの試合では、彼らは徐々に主力選手を休ませるようになり、最近行われたメルボルン・ビクトリーに敗れた試合では、ベンチに座ることの多い選手たちが先発起用されていた。理解に苦しむのは、なぜ決勝トーナメント進出が決まるまでの、1試合か2試合を主力選手で戦わなかったのかということだ。選手を休ませようとしたのだろうか。それであれば非常にもったいない!

 “運”も打撃を与えた。いい方にも悪い方にも。大久保嘉人がいい例だ。3シーズン連続でリーグ得点王に輝いたクラブに戻ったものの、ACLでは3試合に先発してノーゴールと精彩を欠いている。しかしJ1リーグでは、先週末に行われた名古屋グランパスとの一戦で、家長昭博と交代して出場するとその26秒後に、今シーズン自身初ゴールとなる得点を決めてチームを勝利に導いた。中村憲剛のフリーキックを頭で合わせた得点は、オフサイドギリギリの抜け出しから生まれたものだった。ここでは“運”が大久保の方に転がり、主審はゴールを認めた。

 ACLのフロンターレは、守備でのミスが多く、相手のペナルティエリア内に侵入した際には、まるで別世界にいるかのようにチャンスを作れず、フィジカルが強く、ボールスピードも速く、ディフェンダーがより強力になると、すべてがうまくいかない。一方でJ1リーグのフロンターレは、冷静で辛抱強い。試合を最初から最後までコントロールし、攻撃は機能し守備は得点を与えない。

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