Jリーグ 湘南ベルマーレ

湘南ベルマーレ、またも悪癖露呈で柏に敗北。J1最多失点の原因は

細谷真大(左)髙橋直也(右)写真:Getty Images

2024明治安田J1リーグ第14節の全10試合が、5月15日に各地で行われた。湘南ベルマーレは敵地三協フロンテア柏スタジアムで柏レイソルと対戦。最終スコア1-2で敗れている。

今節の敗北により、J2リーグ降格圏の18位に転落した湘南。今季のJ1リーグ14試合消化時点で、全20チーム中最多タイの26失点を喫しており、守備崩壊に歯止めがかからない現状だ。

後半に先制しながら、湘南がリードを守りきれなかった原因は何か。ここでは第14節の柏戦を振り返るとともに、この点を検証・論評していく。


福田翔生 写真:Getty Images

柏vs湘南:試合展開

後半28分、湘南が柏陣営のロングパスを自陣左サイドでカット。アウェイチームDF畑大雅がすかさずロングボールを蹴り返し、柏の最終ライン背後へ走った同クラブMF池田昌生がこれを受けると、同選手が右サイドから横パスを繰り出す。この池田のパスに、後半開始前に投入されたFW福田翔生が右足で合わせ先制ゴールを挙げた。

持ち前の速攻で先制した湘南がこのまま波に乗るかと思われたが、このリードは長続きしなかった。後半32分、湘南は[5-3-2]の守備隊形で柏のパス回しを受け止めたものの、最終ラインと中盤の間に立った柏MFマテウス・サヴィオにボールを捌かれる。これにより湘南DFキム・ミンテ(3センターバック中央)がサヴィオに釣り出され、キムとDF大野和成(3バック左)の間が開くと、このスペースを柏FW細谷真大に突かれてしまう。細谷のラストパスをゴールに押し込んだのは、途中出場の柏FW木下康介。湘南は柏のパスワークにしてやられ、試合を振り出しに戻された。

後半44分、福田が柏MF熊澤和希に勢いのあるスライディングタックルを見舞うと、これが著しく不正なプレーと判定され、池内明彦主審よりレッドカードが提示される。今季J1リーグで5得点、この試合でもゴールを挙げていた福田を失った湘南に、最悪の結末が訪れた。

アウェイチームは福田の退場を受け[5-3-1]の守備隊形をセットしたが、後半46分にペナルティエリアへ侵入した細谷を捕捉できず。途中出場の柏MF島村拓弥(右サイドハーフ)のクロスを細谷に物にされた。これが決勝点となり、湘南は逆転負けを喫している。


柏レイソルvs湘南ベルマーレ、先発メンバー

湘南の攻撃は改善傾向に

J2リーグ降格圏へ転落した湘南にとって唯一の救いは、攻撃に改善が見られたことだ。

[3-1-4-2](自陣撤退時[5-3-2])の基本布陣でこの試合に臨んだ同クラブは、3バックの左を務めた大野と左ウイングバック畑、及びMF平岡大陽(インサイドハーフ)の連係が冴え渡る。前半11分に大野が最終ラインでボールを保持。ここでは基本布陣[4-4-2]の柏サイドハーフとサイドバックの中点に畑が立っている。これと同時に平岡が柏の最終ライン背後を狙ったため、柏DF関根大輝(右サイドバック)が畑へ寄せづらい状況に。これにより畑が関根とサヴィオ(柏の右サイドハーフ)の間でボールを受け、攻撃の起点を担えた。

前半12分にも大野が最終ラインでボールを受け、タッチライン際の畑へのパスと見せかけ平岡へ浮き球を送る。畑に寄せようとした柏の右サイドバック関根の背後を、平岡が突く形となった。

大野、畑、平岡の連係が深まり始めたのは、最終スコア2-1で勝利した第12節サガン鳥栖戦だ。1-1の同点で迎えた後半1分、このシーンでも大野が自陣後方タッチライン際の畑へパスを出すと見せかけ、その前方の平岡へ浮き球を送る。これをコントロールした平岡からボールを引き取ったのは、タッチライン際から内側へ走った畑。その後畑から池田にパスが繋がると、池田からボールを受け取ったMF阿部浩之がペナルティアーク後方から右足でシュートを放つ。このミドルシュートがゴールマウスに吸い込まれ、湘南が勝ち越している。

自陣後方タッチライン際へ降りたウイングバック(サイドバック)にパスを出しては、相手サイドハーフのプレスをもろに浴びるという現象が昨年から続いていた湘南だが、直近のリーグ戦で新たな攻撃パターンを構築できている。鳥栖戦や柏戦では、タッチライン際の畑を囮(おとり)としてうまく使えていた。今後もこうした攻撃を繰り出すべきだろう。

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名前:今﨑新也
趣味:ピッツェリア巡り(ピッツァ・ナポレターナ大好き)
好きなチーム:イタリア代表
2015年に『サッカーキング』主催のフリーペーパー制作企画(短期講座)を受講。2016年10月以降はニュースサイト『theWORLD』での記事執筆、Jリーグの現地取材など、サッカーライターや編集者として実績を積む。少年時代に憧れた選手は、ドラガン・ストイコビッチと中田英寿。

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