
国際サッカー連盟(FIFA)の関連調査機関である「CIESフットボール・オブザーバトリー(スポーツ国際研究センター)」は4月、J1百年構想リーグにおける21歳以下の選手の出場時間の割合を公表。FIFAワールドカップ北中米大会の日本代表候補MF佐藤龍之介らを擁するFC東京が1位になっているが、その数字は「8.6%」という、欧州主要リーグと比較すれば思わず目を疑うほど低い水準にとどまっている。
CIESが示したランキングによれば、FC東京に続くのはV・ファーレン長崎(7.6%)、水戸ホーリーホック(6.7%)、セレッソ大阪(6.0%)、東京ヴェルディ(5.6%)という順だ。一方、昨季J1覇者の鹿島アントラーズは3.1%、ここ数年間トップチーム昇格を果たした選手のレギュラー定着率が低い横浜F・マリノスに至っては2.7%となっている。
ここで注目すべきは単なる順位の話ではない。海外メディア『Jリーグインサイダー』はこのデータを引用し、「Jリーグは21歳以下の選手に与える出場時間が最も少ないリーグの一つであり、これはリーグの発展にとって懸念材料だ」と断言している。欧州では同年代の選手がオランダ1部リーグなどで20〜30%の出場時間を確保するケースが珍しくない。8.6%でリーグ首位というのは、称賛ではなく警告として受け取るべき数字だ。
ただ、水戸ホーリーホックが21〜24歳の出場時間比率において50.3%という突出した数値を叩き出しているのは興味深い。長年J2の舞台で戦ってきたという環境ゆえの必然でもあるが、期限付き移籍で次々と有望株を獲得するなど、長年にわたって「育成クラブ」としての役割を担い、タレントを供給し続けてきた実績と一致する。
『Jリーグインサイダー』はさらにこう続ける。「U-21 Jリーグは良い取り組みの始まりであり、今後さらに多くのクラブが参加することを期待したい。しかし最大の課題は、若手選手を欧州移籍が可能なレベルに達するまでクラブに留め、適正な移籍金で送り出すことだ。若手選手の出場時間の少なさが、移籍金に影響を与えている」。この指摘は本質を突いている。育成年代の試合環境を整備しても、トップチームで使わなければ意味をなさない。サテライトや別大会で積んだ経験値と、真剣勝負のJ1の舞台で受けるプレッシャーは、まったく別次元の話だからだ。
川崎フロンターレ(3.8%)や横浜FM(2.7%)など、直近数年間にJ1優勝を成し遂げたクラブが、若手育成の数値で下位に沈んでいる現実は、勝利至上主義と育成哲学の相克そのものだ。即戦力外国人補強と既存の主力依存で短期的な結果を追う姿勢は、クラブの経営論理としては理解できる。だがその積み重ねが、日本サッカー全体の底上げを阻害しているとしたら、Jリーグが「育成リーグ」を標榜する資格があるのか、改めて問い直さなければならない。
今、日本サッカー界では有望株の海外移籍を巡る議論が白熱。移籍金の安さなどがクローズアップされているが、CIESが公表したデータからも、Jリーグ全体の成長の余地が垣間見える。
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