
京都サンガから海外再挑戦を果たした日本代表FW原大智は、新天地のザンクトパウリで出場機会を失っている。すでに構想外の可能性が取りざたされるなか、FIFA(国際サッカー連盟)公認の代理人が、日本人選手の海外移籍に関して持論を展開した。
代理人の井神貴仁氏は5日にXを更新。欧州で結果を残せず、わずか1,2年でJリーグへ復帰する日本人選手が増加傾向にあるだけに、「日本のクラブは、移籍契約に、選手が一定期間試合に出場していないこと及び選手の承諾を条件として、移籍金同額又は可能であればより低額で再獲得できる条項を設けると良いと思っている」と私見を披露。「選手は、日本に戻ってキャリアを再構築しやすく、クラブも、即戦力を適正コストで確保できる」と、双方にメリットがあると強調している。
現場の最前線に立つ代理人からの提言だけに、その重みは軽くない。
原大智のケースに当てはめれば、京都が事前に同選手との契約を延長し、移籍金を受け取った上で「出場機会が得られない場合は同額以下で呼び戻せる」条項を設けていたとすれば、クラブは戦力を失わずに済み、原自身もキャリアの崩壊を防げた可能性がある。だが現実には、原はザンクトパウリで32分しか出場できないまま宙に浮き、京都は新たなストライカーを補強する羽目になった。誰も得をしていない。くわえて、ドイツ『キッカー』は「原と京都の契約は1月末に満了」「移籍金はなし」と伝えていた。
問題はさらに深い。日本人選手が欧州移籍を決断する際、出場保証を契約に明記するケースはほどんどない。「監督が評価している」という口約束、代理人を通じた非公式なコミュニケーション、そして「欧州に行くこと自体がキャリアアップ」という根拠の薄い通念。この三点が、何人もの選手を「マーケティング要員」へと変えてきた。
海外メディア『Jリーグインサイダー』が原の移籍を批判した文脈と、井神氏の提言は本質的に同じ問題を指している。個々の選手の判断力の問題ではなく、選手を守る契約上の仕組みが整備されていないという構造の問題だ。Jリーグクラブのフロントが井神氏の提言を「参考意見」として流せば、同じ悲劇は繰り返される。
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