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主力選手が監督を”追放”した衝撃事例。レアルから日本代表まで

バヒド・ハリルホジッチ(左)ジョゼ・モウリーニョ(右)写真:アフロスポーツ

欧州CL(UEFAチャンピオンズリーグ)ラウンド16で、レアル・マドリードはマンチェスター・シティを合計スコア5-1(第1戦3-0、第2戦2-1)で破り、準々決勝進出を決めた(3月18日)。

レアルは今年1月12日(現地時間)、シャビ・アロンソ監督との契約解除を発表し、カスティージャ(Bチーム)を率いていたアルバロ・アルベロア氏を後任に据えた。アルベロア体制となって以降、公式戦(リーグ戦・国王杯・欧州CL)で及第点の成績を収めており、3月22日のマドリードダービー(アトレティコ・マドリード戦)も3-2で制した。ただし、フロントは来季を見据えた新監督探しを水面下で続けているとも報じられており、リーグ大逆転優勝と欧州CL制覇という快挙を成し遂げない限り、アルベロア氏の続投はないと見られている。

アロンソ前監督の場合、FWヴィニシウス・ジュニオールをはじめとする主力選手とのコミュニケーション不足が火種となった。一部報道では、GKティボー・クルトワらベテランがフロントへの更迭要求を後押ししたとも伝えられており、選手たちのストレスや不満が積み重なったことが解任の背景にあった。

ところで、クルトワ自身も、ベルギー代表監督ドメニコ・テデスコ氏(ドイツ出身、現フェネルバフチェ監督)との確執を理由に代表招集を拒否。協会への圧力が続くなか、チームがEURO2024でラウンド16敗退、UEFAネーションズリーグでも不振に終わった結果、テデスコ監督は2025年1月に解任された。

こうした一流選手の不満や対立が引き金となって監督が交代に追い込まれた事例は、レアルやベルギー代表だけではない。歴史に残るいくつかの”追放劇”を振り返ってみたい。


ベテランの反乱が招いた若き名将の失脚:アンドレ・ビラス・ボアス監督(チェルシー)

2012年、当時33歳の若さで就任したポルトガル人指揮官ビラス・ボアス氏(現FCポルト会長)は「モウリーニョの後継者」と期待され、チェルシーに乗り込んだ。チームの若返りを志向した結果、フランク・ランパードやアシュリー・コールといったクラブのレジェンドたちを冷遇する形となった。

これに反発した主力たちはメディアへのリークなどで解任への圧力を強め、ビラス・ボアス氏はわずか9か月で監督の座を追われた。皮肉なことに、後任のロベルト・ディ・マッテオ暫定監督のもとでベテランたちが躍動し、クラブ史上初の欧州CL制覇を達成している。


3冠の夢、無残に散る:ユリアン・ナーゲルスマン監督(バイエルン・ミュンヘン)

2023年3月、リーグ・カップ・欧州CLの3冠獲得の可能性を残しながら、ユリアン・ナーゲルスマン監督(現ドイツ代表監督)が突如解任されるという衝撃的な出来事が起きた。

FWセルジュ・ニャブリ、MFレロイ・ザネ、FWトーマス・ミュラーら複数の主力との関係悪化が背景にあったとされており、なかでもFWサディオ・マネとの試合中の言い争いや戦術をめぐる激しい対立が報じられた。チーム内に「監督支持派」と「反対派」の分断が生じ、スポーツダイレクター(SD)のハサン・サリハミジッチ氏らクラブ幹部が選手側の意向を優先し、電撃的な更迭を決断した。


ジョゼ・モウリーニョ 写真:アフロスポーツ

スター選手vs.スペシャルワン:ジョゼ・モウリーニョ監督(マンチェスター・ユナイテッド)

現在ベンフィカの監督を務めるジョゼ・モウリーニョ氏は、2016/17シーズンにEFLカップと欧州リーグ(EL)のタイトルをマンチェスター・ユナイテッドにもたらした。しかし2018年12月に解任され、その決定的な要因としてMFポール・ポグバとの対立がクローズアップされた。

報道陣の目前での練習中の口論や、SNS上での当てつけとも取れる投稿など、両者の関係は完全に破綻していたとされる。クラブは巨額の移籍金で獲得したポグバではなく、監督を切り捨てる選択をした。フロントが選手の金銭的価値と監督の価値を天秤にかけ、冷徹な判断を下した好例とも言える。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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