
ブラウブリッツ秋田が目指す新スタジアムの整備計画を巡り、議論が揺れている。発端の一つとなったのは、秋田市の沼谷純市長が2月20日の市議会代表質問で示した見解だ。県・市・クラブによる三者協議について「県が市に対し単独で整備主体や施設保有者となることを求めている状況では参加できない」と述べ、現状の枠組みでは協議に加わらない考えを明らかにした。新スタ整備に向けた協議の前提条件に疑義を示した形で、議論の進展は見通せない状況となっている。
クラブ側も方針転換を迫られている。2月12日に公表した考え方では、当初想定していた民間主体による整備会社設立と建設・運営の一体的実施は困難との判断を示した。建設資材や労務費の高騰に加え、民有化に伴う税負担、法令上の課題が重なり、民設での実現性が低下したと説明。その上で、官民連携による行政主体での整備を検討するよう求めた。維持管理や運営についてはクラブを中心とする民間事業者で構成する運営会社が担うことを基本とし、企業版・個人版ふるさと納税の活用などで行政整備費と同規模の民間資金調達を目指すとしている。施設規模は1万人規模のフットボール専用スタジアムを想定し、2031年8月の供用開始を目標に掲げる。
こうした中、秋田市議の若松尚利氏は自身のXで見解を披露。市長答弁を引用しつつ、秋田市が既存のソユースタジアムとASPスタジアムを維持しながら新たなスタジアムも負担するのは現実的ではないとの認識を示した。八橋地区に天然芝スタジアムが3施設並立する状況は妥当性を欠くとし、国の交付金の不確実性や内示率の問題にも言及。仮に民間資金が計画通り集まらなかった場合、最終的に県や市が追加負担を迫られるリスクがあるとの懸念もにじませた。
その一方で、単純な反対ではない姿勢も示している。将来的に整備するのであれば、市が主体となり既存施設の建て替えや改修として位置付ける方法も選択肢になり得るとの考えだ。ただし前提として、プロ興行の本拠地として必要な追加設備や規模拡張部分は民間が負担すべきだと強調する。さらに、市の主要基金が減少し財政が厳しい現状や、県も新県立体育館整備を控えている事情を踏まえれば、当面は新スタジアム整備をペンディングとし、財政状況の回復を待つべきではないかとの私見を披露。「秋田市にはお金がない」「秋田市には無理」などと綴っている。
新スタジアム構想は、クラブの競技基盤強化と地域活性化への期待がある一方で、整備主体、財源構成、既存施設との関係、将来的な維持管理コストなど多面的な論点を抱える。三者協議の枠組みそのものが定まらない中、各主体の責任分担をどう整理するのかが最大の焦点だ。クラブが示す2031年供用開始目標まで時間はあるが、財政制約と地域規模を踏まえた現実的な解を導けるかどうか、議論は正念場を迎えている。
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