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J3からブンデスへ。27歳安藤智哉が示す“遅咲き欧州挑戦”の新モデル

安藤智哉 写真:アフロスポーツ

日本人選手の欧州移籍が活発化する中、近年は20代半ば以降に海外挑戦を果たす“遅咲き”のケースも目立ち始めている。ここでは、アビスパ福岡から今冬、ドイツ・ブンデスリーガのザンクトパウリへ完全移籍した日本代表DF安藤智哉(移籍時26歳)を中心に取り上げる。

安藤はJ3からJ2、J1へと段階的にカテゴリーを上げ、日本代表デビューを経て欧州移籍を実現させた。この移籍は、国内で実績を積み上げた選手にとって新たなキャリアパスとなり得るのか。まずは安藤の歩みを振り返り、その成長過程を整理する。その上で、伊東純也(KRCヘンク)や大橋祐紀(ブラックバーン・ローバーズ)といった20代半ば以降に欧州へ渡った例と比較し、共通点や成功要因、課題を分析する。若手中心とされてきた従来の欧州移籍トレンドに対し、こうした“完成度重視型”の挑戦がどこまで現実味を帯びているのかを探っていきたい。


段階的昇格で築いた”雑草型”キャリア

安藤智哉は1999年1月10日、愛知県豊田市生まれ。190cmのサイズを誇るセンターバックで、空中戦の強さと対人守備の安定感を武器とする。ビルドアップにも関与でき、状況に応じてサイドバックでの起用にも対応可能だ。

岡崎城西高校から愛知学院大学へ進学。いわゆる全国屈指の育成ルートを歩んできた選手ではないが、大学で着実に力を伸ばし、2021年にJ3のFC今治でプロキャリアをスタートさせた。

2シーズンで出場機会を重ねると、2023年にJ2大分トリニータへ移籍。主力として評価を高め、対人守備の強さと空中戦能力で存在感を示した。さらに2025年、J1アビスパ福岡へステップアップ。J1初年度からリーグ戦で安定したパフォーマンスを披露し、同年には日本代表デビューも果たしている。

J3からJ2、J1、そして代表へ。カテゴリーを一つずつ上げながら実績を積み重ねてきた点こそが、安藤のキャリア最大の特徴だ。若年層で海外へ渡るケースとは異なる、国内で完成度を高めたうえでの欧州挑戦。そのプロセス自体が、今後の一つの指標になり得る。


ブンデス移籍の背景と詳細

安藤のザンクトパウリへの完全移籍は、2026年1月1日に福岡から発表された。契約期間は非公表。移籍金も公式には明かされていないが、現地報道では約100万ユーロ前後と伝えられている。契約満了が近いタイミングでの移籍だったことを踏まえれば、金額は抑えられた可能性がある。それでも、いわゆる“ゼロ円移籍”ではない点は重要だ。

福岡での継続的な出場と日本代表での起用が評価を高め、欧州クラブの関心を集めた。ブンデスリーガ1部のザンクトパウリは残留を見据えた補強を進める中で、即戦力として安藤を獲得。クラブには藤田譲瑠チマ、今冬加入の原大智ら日本人選手も在籍しており、適応面の環境も整っている。

安藤はクラブ公式メディアで「ブンデスリーガへの移籍は自分にとって重要なステップ。今が適切なタイミングだと感じている」とコメントした。

190cmのサイズを生かした空中戦と対人守備の強さに加え、最終ラインからのビルドアップに関与できる点も評価の対象となった。守備専業型ではなく、攻守両面で計算できるセンターバックであることが、獲得の背景にある。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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