
歩み始めたセカンドキャリア
ーセカンドキャリアが始まって2ヶ月が経ちましたが、イメージ通りですか?それとも少し違っていますか?
児玉:どっちともとれますね。引退してからの生活は「こんな感じなのかな」とも思っていますが、良い意味で裏切られています。引退したからこそ出会える人がいたり、引退してから初めて入ってくる話もたくさんあるので、現役中では考えられない動きをしています。今は海外と関わりながら色々な準備をしています。イタリアのペルージャというクラブと提携して、7月に行われる『ユニバーサルカップ』という大会に、自分が監督として全国から子どもたちを集めて出場しようとしています。これは現役中だったら考えられない話なので、良い意味で引退してからの方がサプライズがたくさん起き、刺激的で楽しいなと思いますね。
ー昨年末に『ヨーロッパチャレンジ2025』と題したイタリア遠征ツアーも開催されましたが、影響を受けたことなどはありますか?
児玉:イタリアに行ったのが初めてだったので、基本的には良い経験になりました。そこでセリエAのローマの試合を観に行ったんです。セリエAの試合を(生で)観たのが初めてだったので、シンプルにファンになりました。今はセリエAにすごく興味があって、結構観ていますね。
運営するGKスクールがペルージャと提携
ー児玉さんが運営するGKスクールの『Kodama Academy』は、イタリアのペルージャと提携を結びました。今後どのような活動を行う予定ですか?
児玉:まずは3月8日に提携後第1弾として、ペルージャのプリマヴェーラというU-19のGKコーチを交えてオンライン講義をします。今、企画として考えているのは、日本からGKを集めてイタリアでGKキャンプをやったり、イタリアから選手を集めて日本に招いたりといったことですね。小さいころに世界を経験するのは良いことだと思います。自分が小さいころは世界を経験できなかったので、できるだけそういう機会を増やしてあげたいなと思っています。
理想の指導者像とは
ー「世界に通用するGKを育てたい」という想いはありますか?
児玉:「世界に通用するGK」というよりは、「世界を知ってもらいたい」という思いはありますね。
ー現在は品川CC(カルチャークラブ)などでGKコーチを務められていますが、指導するにあたって最も心がけていることがあれば教えてください。
児玉:自分の経験や知見を伝えることが一番だと思っています。GKは特殊なポジションで、専門的なコーチが必要だと思います。実際に自分は17年プロとして、ある程度の試合数をこなしてきました。だからこそ分かることが沢山あるので、子どもたちにそういう知識を教えて「そうやれば上手くやれるんだな」という気付きを与えられる指導をしていきたいです。
ー実際にGKコーチとして指導する中で、気付きを与えられたエピソードがあれば教えてください。
児玉:自分はプロとして大体200試合ほど出場したんですけど、小学生年代の子たちだけではなく、大人やプロの選手と話していると「そういう風にやるんですね」というリアクションを得られることが多々あります。簡単なやり取りだけではなかなか伝わらないことが多いので、サッカー談義というよりは、時間をかけて雑談ベースで話すことが多いです。そういう中で、初めて気付きが生まれるので、コミュニケーションの濃さや多さは意識したいと思っています。
PK戦の極意とは?
ー最後に読者の方に伝えたいことはありますか?
児玉:今年は『百年構想リーグ』という特殊なレギュレーションで行われていて、PK戦がとても多くなると思います。だからこそ、PK戦をひとつの見どころとして楽しんでほしいですね。GKの立場から見ると、PK戦には多くの戦略があります。各チームのGKは「どうすればPKを制することができるのか」を想定し、周到な準備をして臨んでいます。PKは決して運ではなく、確実に実力が表れる場面だと思います。自分はGKなのでその視点で注目したいですし、一緒にサッカーを楽しんでもらえたら嬉しいです。
ー現役時代には、実際にどのような戦略を練っていたのですか?
児玉:まずはデータが大事なので、その選手が「これまでどこに蹴っていたのか」というデータを入れるのが大前提です。PK戦は基本的に5人蹴るので、5人中2本くらい止められれば勝率が一気に上がります。なので、1本1本に対して目の前のボールを止めるというよりは、5本中2本を止めるためにどうすれば良いのかを考えます。
例えば1本目は真ん中で止まっておく。そうすることで、2本目以降の選手は真ん中に蹴りにくくなると思うんですよ。もしくは1本目で明らかに左右どちらかに思いっきり飛んでおく。2本目は真ん中にあえて止まることで「このGKはどういう動きをするのか分からない」という思いが働いてキッカーに良いコースを蹴らせなかったり、メンタル的な要素も含まれているので深いですね。あえて真ん中に立たず、少し右側に立って「なにやってんねんコイツ」と思わせたりとか(笑)。色々な戦術があります。
ー日本代表はワールドカップ(W杯)でPK戦の末に敗れてきた歴史があります。同点即PKという百年構想リーグのレギュレーションは、将来のW杯につながる実戦の場になるかもしれないですね。
児玉:そうですね、PK戦はめちゃくちゃ大事ですね。
今回のインタビューでは、現役復帰の裏側と新たなセカンドキャリアの歩みについて訊いた。特に印象的だったのは、繰り返し語られる「感謝」という言葉だ。YouTubeでの発信や取材中の表情からも、そのマインドを胸に日々を過ごしていることが伝わってくる。充実した現在があるのは、そうした姿勢の積み重ねによるものに違いない。現役を引退してもなお多くの人々に影響を与え、憧れを抱かせる存在であり続けるはずだ。セカンドキャリアでのさらなる活躍に期待したい。
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