
2026シーズンのJ3リーグでは、9クラブが新たな指揮官を迎え入れた。J3は戦力差が小さく、クラブ規模や予算にも大きな開きがない分、監督の戦術選択やマネジメントが結果に直結しやすいカテゴリーだ。
ここでは、2026シーズンからJ3クラブの指揮官に就任する新監督たちを取り上げ、その期待度を整理していく。評価は過去の監督実績を軸に、Jリーグでの勝率や昇格経験、成績の波の少なさ、若手育成への関与度などを総合的に判断した。
J3は一度歯車が噛み合えば上位進出が見える反面、立て直しに失敗すれば長期低迷に陥る危険も孕むリーグだ。百年構想リーグとして昇降格のないシーズンとなるが、秋春制移行を控える2026/27シーズンを見据え、新指揮官の采配は“結果以上に過程”が問われる。

栃木SC:米山篤志監督
期待度:★★☆☆☆
主な監督実績
- 東京23FC(2012-2014/関東リーグ1部)
- カマタマーレ讃岐(2023-2025)
米山篤志監督は現役時代、Jリーグ通算298試合に出場し、日本代表にも名を連ねた実績を持つ。指導者としては、2023シーズンから2シーズンにわたり讃岐を指揮したが、2025シーズンは途中解任となり、チームは最終的に17位でJ3残留を果たした。
J2から降格した栃木SCにとって、2026シーズンは再建が最大のテーマとなる。ただ、2025シーズンは“昇格請負人”と称される小林伸二前監督の下でも、勝ち点差1で昇格プレーオフ進出を逃しており、立て直しは容易ではない。米山監督は讃岐時代に守備組織の構築を試みたものの、失点数はJ3でもワーストに近い57失点と安定感を欠いた。若手起用は進んだ一方で、結果との両立には課題が残る。栃木県宇都宮市出身という縁もあり招聘に至ったと見られ、チームの一体感を高める効果は期待できるが、現時点での評価はやや辛口にならざるを得ない。まずは2026/27シーズンを見据え、安定した戦力と土台を築くことが至上命題であり、J2復帰はその先に掲げるべき目標と言えるだろう。
レイラック滋賀:和田治雄監督
期待度:★☆☆☆☆
主な監督実績
- MIOびわこ草津(2009-2011/レイラック滋賀の前身・当時JFL)
- FC大阪(2016-2019/当時JFL)
- JAPANサッカーカレッジ(2020-2021/北信越1部)
- バニーズ群馬FCホワイトスター(2022/なでしこリーグ1部)
2025シーズン、JFLで2位に入り、J3最下位だったアスルクラロ沼津との入れ替え戦を制してJリーグ入りを決めたレイラック滋賀。だが、角田誠前監督が保有するA級ジェネラルライセンスでは、J2クラブとの対戦がある百年構想リーグで監督を務められないことが判明したため、角田前監督は強化部長へ異動し、和田治雄氏が15年ぶりに同クラブの監督に復帰することになった。和田監督が保有するのはJFAのProライセンスではなくUEFA Proライセンスであり、条件を満たしている。
和田監督は現役選手経験がなく、神戸大学卒業後にスロベニアへコーチ留学し、NKインテルブロック・リュブリャナの下部組織などで指導経験を積んだ。帰国後はブランメル仙台(現ベガルタ仙台)でブランコ・エルスナー監督、また名古屋グランパスや仙台でズデンコ・ベルデニック監督の下でコーチ兼通訳を務めるなど、指導・現場の補佐役として豊富な経験を持つ。他にもガンバ大阪やアルビレックス新潟でコーチ経験がある。
一方で、トップカテゴリーでの監督経験はなく、前回の滋賀監督時代やバニーズ群馬での指揮も成果を残したとは言い難い。Jリーグという舞台での采配は未知数であり、2026/27シーズンからは角田氏がJ3監督として復帰可能になるため、百年構想リーグ期間中のみ指揮を執る“暫定的な役割”にとどまる可能性も考えられる。

奈良クラブ:大黒将志監督
期待度:★★★☆☆
主な監督実績
- なし
現役時代はG大阪を皮切りに国内9クラブを渡り歩き、フランス、イタリア、中国でもプレー。日本代表ではジーコ監督の下、スーパーサブとして活躍したストライカーだった大黒将志監督。引退後はG大阪の下部組織、FC TIAMO枚方(JFL)で指導経験を積み、2025シーズンは川崎フロンターレのコーチを務めている。
奈良クラブは2025シーズンを9位で終え、昇格プレーオフ進出はならなかった。大黒監督にとってトップチーム監督は初挑戦となるが、今季初練習では「勇気あるオファーをくれた」と語り、初日から戦術練習を含めた約2時間の指導を実施。監督としての力量は未知数ながら、現役時代の得点感覚や海外経験を生かし、得点力向上を軸にJ2昇格へ向けた基盤作りが期待される。

カマタマーレ讃岐:大嶽直人監督
期待度:★★★★☆
主な監督実績
- 伊賀FCくノ一(2010-2012、2018-2021/なでしこリーグ1部)
- 鹿児島ユナイテッド(2022-2023)
- FC大阪(2024-2025)
大嶽直人監督は、2025年12月8日にカマタマーレ讃岐の監督就任が発表された。2023シーズンに鹿児島ユナイテッドを指揮し、月間優秀監督賞を受賞。2024シーズンから2025シーズン途中まで率いたFC大阪でも同賞を獲得している。FC大阪では一時首位に立ったものの、3位に後退したタイミングで契約解除となった。
讃岐は昨季17位に沈み、守備の立て直しが急務だ。大嶽監督は鹿児島時代、2022シーズンにJ3・3位、2023シーズンも昇格圏内で推移しながら途中退任(最終結果は2位でJ2昇格)となったが、安定した成績を残した。育成力にも定評があり、若手の出場機会を増やしてきた点は評価できる。J3での実績を踏まえ、組織的な守備構築から上位進出を狙う指揮に期待が集まる。
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