Jリーグ

昇格を引き寄せるのは?J2リーグ2026新任監督11人の期待度

渋谷洋樹監督 写真:Getty Images

ヴァンフォーレ甲府:渋谷洋樹監督

期待度:★★☆☆☆

主な監督実績

  • 大宮アルディージャ(2014-2017)
  • ロアッソ熊本(2018-2019)
  • ジュビロ磐田(2022)

渋谷洋樹監督は、2014シーズン途中から2017シーズン途中まで大宮アルディージャを指揮。就任初年度はJ1残留を果たせなかったものの、翌2015シーズンにはJ2で優勝し、クラブを1年でJ1復帰へ導いた実績を持つ。その後は2018シーズンから2019シーズンまでロアッソ熊本、2022シーズンにはジュビロ磐田を率いた。ヴァンフォーレ甲府では2010シーズンにコーチを務めた経験があり、クラブの文化を理解している点は強みと言える。

守備組織の構築力には定評があり、甲府の伝統でもある堅守速攻スタイルとの親和性は高い。一方で、近年は途中解任が続くなど、指揮の安定感には課題も残る。攻撃面での上積みをどこまで示せるかが、チーム浮上の鍵となるだろう。豊富な経験を持ちながらも直近の成績を考慮し、現実的な評価として期待度は【★★☆☆☆】と控えめに設定した。


槙野智章氏 写真:Getty Images

藤枝MYFC:槙野智章監督

期待度:★★☆☆☆

主な監督実績

  • 品川CC横浜(神奈川県社会人1部/2024-2025)

今オフ、サッカー界で最も大きな驚きをもって迎えられた指揮官が槙野智章監督だろう。神奈川県社会人1部リーグの品川CC横浜を指揮しながらJFA Proライセンス取得を目指していることは広く知られていたが、2025年12月8日にライセンスを取得すると、そのわずか4日後の12月12日に藤枝MYFCが次期監督就任を発表。異例とも言えるスピードで、Jリーグクラブの指揮官に就くこととなった。

現役時代はサンフレッチェ広島、浦和レッズ、ヴィッセル神戸で通算592試合67得点を記録し、日本代表としても38試合4得点と豊富な経験を誇る。選手目線での高いコミュニケーション能力は大きな武器であり、若手主体の藤枝に新たな刺激を与える存在となりそうだ。一方で、トップカテゴリーでの監督経験はなく、戦術的な成熟度や試合運びは未知数と言わざるを得ない。まずはJ2残留を最優先とした堅実な戦いが求められる中、挑戦的な人選として期待と不安が交錯する評価となり、期待度は【★★☆☆☆】とした。


石﨑信弘監督 写真:Getty Images

松本山雅:石﨑信弘監督

期待度:★★★☆☆

主な監督実績

  • NEC山形/モンテディオ山形(1995-1998)
  • 大分トリニータ(1999-2001)
  • 川崎フロンターレ(2001-2003)
  • 清水エスパルス(2004)
  • 東京ヴェルディ(2005)
  • 柏レイソル(2006-2008)
  • コンサドーレ札幌(2009-2012)
  • 杭州緑城U-18(2013)
  • モンテディオ山形(2014-2016)
  • テゲバジャーロ宮崎(2017-2018)
  • 藤枝MYFC(2018-2020)
  • カターレ富山(2021-2022)
  • ヴァンラーレ八戸(2023-2025)

当時JFLだったNEC山形(現モンテディオ山形)を皮切りに、国内外で数多くのクラブを率いてきた石﨑信弘監督は、J1昇格を5度達成した“昇格請負人”として知られる名将だ。2025シーズンもヴァンラーレ八戸をクラブ史上初のJ2昇格へ導き、Jリーグ通算898試合という圧倒的な指揮経験を誇る。就任コメントでも闘志あふれる言葉を並べ、67歳という年齢を感じさせないエネルギッシュな姿勢を強調した。

サッカーは堅実な守備を軸に相手の長所を消し、走力とフィジカルを徹底的に求めるスタイル。川崎フロンターレ時代に指導を受けた元日本代表MF中村憲剛氏が「1年目の練習が最もキツかった」と語るほど、要求水準は高い。下位チームを引き上げる手腕には定評がある一方、即効性を求め過ぎるとチームと噛み合わないリスクもはらむ。監督交代を繰り返してきた松本のクラブ体質が、中長期視点で辛抱強く支えられるかが成否の分かれ目となりそうで、期待度は【★★★☆☆】とした。


ゲルト・エンゲルス監督 写真:Getty Images

徳島ヴォルティス:ゲルト・エンゲルス監督

期待度:★★☆☆☆

主な監督実績

  • 横浜フリューゲルス(1998)
  • ジェフユナイテッド市原(1999)
  • 京都パープルサンガ(2000-2003)
  • 浦和レッズ(2008)
  • モザンビーク代表(2011-2013)
  • INAC神戸レオネッサ(2020)

次期監督の発表が遅れ、サポーターをやきもきさせる中、12月28日にヘッドコーチから昇格する形で就任が発表されたのがゲルト・エンゲルス監督だ。Jリーグ黎明期の1993年から横浜フリューゲルスでコーチを務め、1998シーズン途中に監督へ昇格。クラブ消滅が決まるという激動の状況下でもチームをまとめ上げ、天皇杯優勝で歴史に幕を閉じた。その後は市原、京都を指揮し、京都では朴智星、黒部光昭、松井大輔らを擁して天皇杯初制覇を成し遂げている。

その後はモザンビーク代表や女子のINAC神戸レオネッサなどで指導を続け、2018年には日本での長年の功績が評価され「ドイツフットボールアンバサダー」最優秀監督賞を受賞した。一方で、近年はトップチーム監督から距離を置き、コーチ業が中心だった点は不安材料と言える。時に“奇策”を用いる戦術家として知られ、徳島のポゼッション志向に欧州的な要素を融合させる可能性はあるが、チームを不安定にさせるリスクも否定できない。経験値は評価しつつも未知数な部分が多く、期待度は【★★☆☆☆】と控えめに設定した。


四方田修平監督 写真:Getty Images

大分トリニータ:四方田修平監督

期待度:★★★★★

主な監督実績

  • 北海道コンサドーレ札幌(2015-2017)
  • 横浜FC(2022-2025)

2015シーズンから2017シーズンまで札幌を率い、2016シーズンにはJ2優勝を達成。さらに2022シーズンから2025シーズンまで横浜FCを指揮し、クラブを2度J1昇格へ導いたのが四方田修平監督だ。昇格争いを熟知した実績十分の指揮官であり、J1復帰を目標とする大分にとって、これ以上ない人選と言える。実績ある監督の招聘を成功させた強化部門の手腕も高く評価されるべきだろう。

攻撃的なスタイルを基盤に、選手の成長を促すマネジメント力は高い。就任会見では「湧き上がるサッカー」を掲げ、前向きで勢いのあるチーム作りを示唆した。大分の戦力を最大限に引き出すことができれば、J2でも優勝候補の一角に数えられ、2026/27シーズンでの昇格も現実的な目標となる。これまでの確かな実績を踏まえ、期待度は最高評価の【★★★★★】。2026シーズンJ2を代表する注目監督の一人だ。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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