Jリーグ

昇格を引き寄せるのは?J2リーグ2026新任監督11人の期待度

写真:Getty Images

2026シーズンのJ2リーグは、降格組の早期復活や昇格組の定着を目指す戦いが交錯する中、全20クラブ中11クラブで監督交代が行われた。リーグ全体の半数以上が新体制で臨むシーズンとなり、例年以上に指揮官の手腕が結果を左右する一年になりそうだ。

ここでは、2026シーズンから新たにJ2クラブの指揮を執る監督たちについて、過去の実績や指導スタイルを基に期待度を評価していく。評価基準は、Jリーグでの勝率、昇格達成回数、チーム成績の安定性、選手育成力などを総合的に判断した。

新監督の顔ぶれには、J1・J2で実績を積み重ねてきた経験豊富な指揮官がいる一方、監督初挑戦となるフレッシュな存在も名を連ね、多士済々だ。J2・J3での指導経験が長い監督は、長期的なチーム構築力に強みを発揮する可能性があり、初挑戦の指揮官は戦術的な新機軸でリーグに刺激をもたらすことが期待される。

戦力差が比較的小さいJ2では、監督の戦術浸透度と選手の適応力が順位に直結しやすい。さらに、秋春制へ移行する2025/26シーズンを見据える中で、新指揮官の手腕は各クラブの将来像にも大きな影響を与えるだろう。


川井健太監督 写真:Getty Images

北海道コンサドーレ札幌:川井健太監督

期待度:★★★★☆

主な監督実績

  • 愛媛FC(2018-2020)
  • サガン鳥栖(2022-2024)

育成組織出身で、現役時代も愛媛FC一筋で過ごした川井健太監督。2018シーズンから2020シーズンまで愛媛FCを指揮し、限られた予算規模の中でチームをJ2に残留させ続けた。2022シーズンからはサガン鳥栖の監督に就任し、2022シーズン11位、2023シーズン14位と、J1の中でも予算規模の小さいクラブに安定感をもたらした。2024シーズンは8月に解任されたものの、指導力に対する評価は依然として高い。攻撃的なパスサッカーを志向し、選手の個性を引き出すマネジメント力が特徴で、鳥栖退任後はイングランドをはじめ欧州各地で試合を視察し、見聞を広めたという。

就任会見では「這いつくばってでも前に進む」と語り、強い覚悟を示した。札幌は2025シーズン、岩政大樹監督を招聘したものの第25節で解任し、柴田慎吾ヘッドコーチの昇格など混乱を経験しており、早期の立て直しが急務となっている。J1昇格の実績こそないが、J1水準の戦術構築力を備えた指揮官であり、昇格争いの中心に据えられる存在だろう。総合的に判断し、期待度は【★★★★☆】とした。


ヴァンラーレ八戸:高橋勇菊監督

期待度:★★☆☆☆

主な監督実績

  • 富山新庄クラブ(北信越1部/2020-2022)

高橋勇菊監督は、2020シーズンから2022シーズン9月まで富山新庄クラブ(北信越1部)を指揮し、チームの基盤を築いた。その後はカターレ富山でアシスタントコーチを務め、2023シーズンからヴァンラーレ八戸のヘッドコーチに就任。石﨑信弘前監督の下で経験を積み、2025シーズンのJ3優勝とJ2昇格に貢献した。育成年代では2017シーズンから2019シーズンまで富山U-15監督を務めるなど、選手育成に実績を持つ指導者だ。

しかし、Jリーグでの監督就任は今回が初挑戦となり、J2という新たな環境に対応できるかは未知数と言える。J2初参戦となるクラブにとっては、守備の安定と選手の継続的な成長が最大の鍵となるだろう。まずは百年構想リーグでの戦いが試金石となる中、高橋氏は組織的な守備を重視し、J2残留を最優先とする現実的なスタイルを採用すると見られる。大きな飛躍よりも土台固めのシーズンになる可能性が高く、期待度は【★★☆☆☆】とした。


須藤大輔監督 写真:Getty Images

横浜FC:須藤大輔監督

期待度:★★★☆☆

主な監督実績

  • ガイナーレ鳥取(2018)
  • 藤枝MYFC(2021-2025)

須藤大輔監督は、2018シーズン途中からガイナーレ鳥取を指揮し、J3で3位へと導いた実績を持つ。シーズン後には契約延長の打診を受けたものの、「家庭の事情」を理由に退任。その後、2021シーズン途中からは現役最後のクラブでもある藤枝MYFCの監督に就任し、2025シーズンまで指揮を執った。2022シーズンにはJ3で2位となり、クラブをJ2昇格へ導くと、同年7月にはJ3月間優秀監督賞も受賞している。

現役時代は水戸ホーリーホックなど5クラブを渡り歩いたFWで、選手との距離感の近さや現場目線のマネジメントが特徴だ。一方で、J2・J1での長期的な上位争いの経験は限られており、横浜FCという昇格候補クラブを率いる上では、結果と内容の両立が求められるシーズンとなる。堅実なチーム構築力は評価できるものの、即座に昇格争いを制するだけの上積みがあるかは未知数であり、期待度は【★★★☆☆】とした。


長澤徹監督 写真:Getty Images

湘南ベルマーレ:長澤徹監督

期待度:★★★★☆

主な監督実績

  • ジュビロ磐田(2013)
  • ファジアーノ岡山(2015-2018)
  • RB大宮アルディージャ(2024-2025)

長澤徹監督は、2013シーズンにジュビロ磐田で代行監督として指揮官デビュー。その後、2015シーズンから2018シーズンまではJ2のファジアーノ岡山を率い、2016シーズンには当時のクラブ最高成績となる6位に導き、昇格プレーオフ進出を達成している。FC東京でのコーチ兼U-23監督、京都サンガのヘッドコーチを経て、2024シーズンから2025シーズン途中までRB大宮アルディージャを指揮。J3にまでカテゴリーを落としていたクラブを、就任初年度でJ3優勝とJ2昇格へ導いた手腕は高く評価されている。

規律ある守備組織をベースとしたチームビルディングに定評があり、就任会見では「目の前の1試合にこだわる」と語った。湘南の伝統でもある走力と闘争心をさらに磨き上げる方針を示しており、クラブのカラーとも合致している印象だ。J1復帰を目指す上で適任と見る向きも多く、選手とのコミュニケーションを重視するマネジメントスタイルも含め、総合的に判断して期待度は【★★★★☆】とした。


ジュビロ磐田:志垣良監督

期待度:★★★☆☆

主な監督実績

  • ヴァンラーレ八戸(2022)
  • FC大阪(2023)
  • レノファ山口(2024-2025)

史上初の「高校3冠」を達成した1997年の東福岡高校卒業後、イングランドに渡りアマチュアクラブでプレー。指導者転身後はリバプールの大学で欧州のメソッドを学び、下部リーグやマンチェスター・ユナイテッドのアカデミーでコーチを務めるなど、異色の経歴を持つ志垣良監督。帰国後は名古屋、千葉、福岡、大分、磐田、鳥取、京都などでコーチや分析担当、ユース監督を歴任し、2022シーズンに八戸でトップチーム監督に初挑戦。以降、FC大阪、山口と指揮を執り、着実に経験を積み重ねてきた。

山口では就任初年度に前年20位のチームを11位へ引き上げた一方、2025シーズンは残留争いに巻き込まれ、6月に解任。チームも最終的にJ3降格となった。その直後の9月に磐田のコーチに就任し、安間貴義前監督の退任に伴い内部昇格という形で指揮官に就いた。就任会見では「ジュビロのあるべき姿を再構築したい」と語り、育成力やポゼッション志向には一定の期待が集まるが、結果が伴わなければ厳しい立場に置かれる可能性もある。安定感とリスクを併せ持つ人選として、期待度は【★★★☆☆】とした。


船越優蔵監督 写真:Getty Images

アルビレックス新潟:船越優蔵監督

期待度:★★★★☆

主な監督実績

  • U-17日本代表(2020)
  • JFAアカデミー福島/U-18日本代表(2021)
  • U-18・U-19日本(2024)

船越優蔵監督は、2020年にU-17日本代表、2021年にJFAアカデミー福島とU-18日本代表、2024年にはU-18・U-19日本代表を指揮するなど、育成年代で豊富な指導実績を持つ指導者だ。2025年にはU-20日本代表をU-20ワールドカップ16強へ導き、その手腕が高く評価されたことで、満を持してクラブチームの監督に初挑戦することとなった。現役時代は日本とオランダで計7クラブを渡り歩いたが、最も輝いたのはアルビレックス新潟在籍時(2002-2006)で、クラブへの理解度も高い。

育成年代で培った経験から、若手選手の成長促進と戦術浸透力には強みを持つ一方、J1最下位で降格したクラブの再建は決して容易なミッションではない。短期的な結果と中長期的な育成をどう両立させるか、サポーターやフロントの理解も含めたマネジメントが問われるシーズンとなるだろう。それでも将来を見据えたチーム再構築には適任の人材であり、J1復帰への土台を築く存在としての期待を込め、期待度は【★★★★☆】とした。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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