
2025年12月29日、第104回全国高校サッカー選手権大会の1回戦がフクダ電子アリーナ(千葉県)で行われ、2大会ぶり18回目の出場となる初芝橋本高校(和歌山県代表)は、同大会4度の優勝を誇る青森山田高校(青森県代表)と対戦した。
この一戦を振り返るとともに、試合後に初芝橋本のMF松田柊斗(1年)に行ったインタビューの内容を紹介する。

堅守で食らいつくも、青森山田の前に完敗
初芝橋本は和歌山県大会を4試合26得点1失点と、堅守を武器に勝ち上がり選手権出場を決めた。初戦の青森山田戦でも守備からリズムを作り、持ち前のロングスローやセットプレーで得点を狙い、試合の主導権を握りたい一戦だった。
試合開始直後から、初芝橋本は積極的に前へ出て青森山田を攻め立てる。6分、FW鈴木和優希(3年)が左サイドを突破し、ゴール前を横切るクロスを供給。これを受けたDF田村海斗(3年)がゴール前にポジションを取っていたFW山田頼慈(2年)へ折り返すが、青森山田DFにクリアされる。
しかし、9分に試合が動く。左サイドからのクロスをMF杉山大起(3年)が胸でトラップし、FW深瀬幹太(3年)がシュート。これを初芝橋本のGK岸和田谷柊太(3年)が一度はセーブしたものの、こぼれ球を拾った杉山に押し込まれ、青森山田に先制点を許した。
さらに24分にも、コーナーキックから青森山田DF大場光翔(3年)にヘディングシュートを決められ、追加点を献上。1点を返したい初芝橋本も、サイド攻撃や相手DFラインの背後を狙うが、なかなかフィニッシュまで持ち込めず、前半を0-2で折り返す。
後半、反撃に出たい初芝橋本にチャンスが訪れる。46分、DF足立優太(3年)が左サイドを突破してクロスを供給。中で待っていた鈴木が左足でボレーシュートを放つも、惜しくも枠を捉えられない。その後は青森山田が主導権を握る展開が続く。
69分、相手DFのクリアボールを拾った青森山田のMF今田匠(3年)がペナルティエリア外から左足一閃のミドルシュートを突き刺し3点目。79分にはコーナーキックからGKが弾いたボールをMF小山田蓮(3年)が胸でトラップして放ったシュートが決まり4点目を奪う。さらに80分+4分にはFW桑原唯斗(3年)がPKを沈め、勝負を決定づけた。試合は5-0で青森山田が勝利。シュート数も11-1と、初芝橋本にとっては力の差を突きつけられる結果となった。

「立ち向かう気持ちで挑みました」
この試合で両チームを通じて唯一、1年生ながらピッチに立った選手がいた。初芝橋本のMF松田柊人だ。MF西川陽人(3年)との2ボランチで出場した松田は、相手選手の寄せの速さや足元の技術に終始翻弄されていたが、相手に立ち向かう泥臭さはチーム内でも随一だった。
そんな松田が存在感を示したのが、前半40分+2分の場面だ。相手のロングボールをDF足立優太(3年)がヘディングで跳ね返すと、松田がバックヘッドでFW伊田星豪(2年)へつなぐ。そこからMF中野壮次郎(2年)、松田、西川、山田とテンポ良くパスが回り、サイド攻撃へと展開した。
結果的に相手DFにボールを回収されてしまうが、スタジアムをざわつかせたこのシーンは松田の味方選手との距離感や判断の良さが垣間見えるプレーだった。
松田は後半開始と同時にMF山本悠汰(3年)と交代。自身初となる選手権の舞台は、前半40分間で幕を下ろした。「緊張もあったなか、試合開始から声を出して入ることができました。相手は上手い選手ばかりなので立ち向かう気持ちで挑みました。試合の入りは悪くはなかったんですが、前半の終盤に集中力を欠いてしまい、ふがいない結果になってしまいました」と振り返った。
自身のプレーについても「気持ちを全面に出せたことは良かったですが、プレー面では満足いかなかったです」と冷静に課題を口にした。具体的な課題を問うと「一つ一つのプレーの質の部分やスピード、声掛けのタイミング、戦術などで(青森山田との)レベルの差を感じました。今日感じた課題を一つ一つ解消していきたいです」と語った。
また、試合後には引退する3年生から声を掛けられたという松田。「このような結果になってしまい先輩たちに申し訳ない気持ちでいっぱいでした。それでも3年生の先輩たちは『また来年、再来年頑張れ』と優しく声を掛けてくださったので、まずはこの悔しさを忘れずに来年選手権のピッチで戦えるように頑張りたいと思います」と悔しさを滲ませた。
全国の舞台で味わった悔しさは、松田柊人という若きボランチにとって確かな原点となった。この経験を糧に、初芝橋本を再び全国で勝てるチームへと導いていく存在になるはずだ。

「彼はプロになれますよね」
松田について初芝橋本の阪中義博監督は、試合後のインタビューで次のように評価した。「(現時点では)上手くはない。でも、気持ちは強くてハードワークができてフィジカルコンタクトも強いです」。
一方で、今後の課題についても率直に言及する。「今後の課題として、スキルの部分を磨いていくことと試合勘やサッカー感を高めていってもらいたいと思います。スキルだけあってもサッカーはできないので、今後は戦術眼を高めて今どのようなことをするべきかを磨いていってほしいです。それらが備わると、彼はプロになれますよね。残り2年間あるので、今後どのように成長していくかは彼次第です」。
長所と課題の両面を語る言葉の端々からは、松田に寄せる期待の大きさがにじみ出ていた。残された2年間で、松田がどのような進化を遂げるのか。初芝橋本の未来を担う存在として、その成長と今後の活躍に期待したい。
コメントランキング