
イスラエル代表FWディーン・デイビッドは2025年夏、同国1部マッカビ・ハイファから横浜F・マリノスへ完全移籍。わずか半年で退団する可能性が報じられていたが、残留が既定路線だという。
デイビッドの去就を巡っては、イスラエル『Sport5』が12月16日に同国1部マッカビ・テルアビブからの関心を報じていた。イスラエル国内では母国復帰論が高まっているというが、個別のメンタルコーチを務めるヤニヴ・レヴィ氏は12月17日、スポーツ番組『5 in the Air』に出演。2025シーズンのJ1リーグ戦で10試合の出場も、スタメン出場3試合で3ゴールという結果に終わった同選手の現状や今後について、こう語ったという。
「デイビッドは喧騒から離れた場所にいて、非常に落ち着いている。彼は日本に行き、現地のメンタリティやプレースタイルを学んでいる最中だ。イスラエルで20ゴール決めるのと、日本で10ゴール決めるのでは価値が違う。日本で10ゴール決めれば、それはもうスーパーマンのような扱いなんだ。日本に渡った外国人選手が、最初はあまり試合に出られないのは珍しいことではない」
「(町田ゼルビア所属で、今夏までガンバ大阪に在籍していた)ネタ・ラヴィも最初は試合に出られなかった。新しい要求や環境に適応するには時間がかかる。フィジカルを鍛えるのと同じように、今はサッカーへの考え方や捉え方を構築している段階だ。デイビッドはすぐにイスラエルに戻るために海外へ出たわけではない。特にたった1回の移籍ウィンドウで帰るつもりはない。もし状況が悪ければ帰国も考えるだろうが、実際、彼は今の環境に満足している」
「(関心を寄せている)どのクラブもリスペクトしているが、彼は横浜FMに留まることを望んでいる。我々は日本に残る。1月の移籍はデイビッドにとって選択肢にない。次のシーズン、日本で彼の活躍を何度も耳にすることになると確信している」
現在29歳のデイビッドはハイファに4年間在籍し、通算184試合出場で76ゴール15アシスト。2024/25シーズンもリーグ戦とプレーオフあわせて30試合出場で14ゴール4アシストと結果を残し、横浜FMへ完全移籍した。
デイビッドの現状は、来日1年目の成績だけを切り取れば期待外れと映るかもしれない。しかし異なる文化、戦術、評価軸を持つJリーグへの挑戦は、単なる移籍ではなく、いち選手としてキャリアの再構築を図っている過程である。母国で量産するゴールと、日本で勝ち取るゴールの価値は等価ではない。
短期間で結論を急ぐのではなく、Jリーグ挑戦という経験が選手生命にどのような厚みをもたらすのかを見極める視点が必要だ。デイビッドが日本に留まる選択をした背景には、その確かな手応えがあるのであり、次なるシーズンで示される真価こそが、この挑戦の成否を物語ることになるであろう。
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