
鹿島アントラーズが9年ぶりに王座を奪還した2025明治安田J1リーグ。優勝した2016シーズン以降、常に上位争いを演じながらも届かなかった頂にたどり着き、選手やクラブスタッフはもちろんファンやサポーターの喜びもひとしおだろう。
チームとしてのタイトルはもちろん、今季の個人賞を見てもその充実ぶりが際立つ。最優秀選手賞には、冷静にボールを見極めたセービングを連発し日本代表にも選出されたGK早川友基が、得点王には今季の新戦力であり過去に横浜F・マリノスやセレッソ大阪でもゴールを量産してきたFWレオ・セアラが輝いている。
その他の選手を見ても、鹿島を象徴する選手の1人として攻守に貢献度の高かったFW鈴木優磨や、競り合いの強さを武器にキャプテンとしてもチームを引っ張ったDF植田直通など、各ポジションに国内屈指の戦力を擁しており、優勝を成し遂げられたことも十分にうなずける。
しかし、優勝の立役者となったのはスタメンとして出続けた選手たちばかりではない。時にベンチ外の時期もありながら、上位を争うチームを支えた選手は多くいる。ここでは、途中出場の多かった選手の中から特に今冬他クラブに流出させたくない選手を3名紹介していく。

知念慶
1人目は2023シーズンに鹿島へ加入し、昨季はランコ・ポポヴィッチ監督の下でボランチとしての才能を開花させたMF知念慶だ。今季、中盤下がり目の位置には、欧州挑戦から昨年鹿島へ復帰を果たしたMF三竿健斗を筆頭に、若手のMF船橋佑やベテランのMF柴崎岳など、複数の選手が起用されて熾烈なポジション争いが繰り広げられた。そのなかで知念は29試合に出場し、うち13試合で先発出場を果たしている。
プロの世界に足を踏み入れた2017シーズンを除き、2018シーズン以降は毎年複数得点に絡む働きを見せる知念。今季も例外ではなく、途中出場が多いなかでチームで3番目に多い4ゴールを挙げている。
もともとFW選手なこともあり高い得点力が魅力の選手だが、中盤で起用されるようになってからは、とにかくデュエルの強さが目立つ。177cmと必ずしも大柄な選手ではないが、当たり負けしないフィジカルと果敢にボールを奪いに行く守備が光る。もちろん、デュエル勝利数はチームトップの数字を誇っており、ポジション争いのライバルたちと比較しても十分な強みを持っていると言えよう。
そんな知念でさえスタメンが確約されていない現状こそ鹿島の強みであり、選手層の厚さを感じさせる。しかし、広大な守備範囲を高強度でカバーできるその能力は、他クラブから見ても大きな魅力に映るはずだ。鹿島としてはゲーム中の守備強度を高める存在として、また得点源の1つとして失えない戦力だが、同じくらい他クラブが欲する選手であることも間違いない。
コメントランキング