
12月7日、各会場で2025明治安田J1昇格プレーオフ(以下、PO)の準決勝が行われた。リーグ3位のジェフユナイテッド千葉は、フクダ電子アリーナ(千葉県)にリーグ6位のRB大宮アルディージャを迎えた。POのレギュレーション上、千葉は引き分けでも決勝に進める状況だった。
しかし、試合は前半から大宮のペースに。20分にMF泉柊椰のゴールで先制を許すと、32分にはDF関口凱心にも追加点を奪われ0-2で前半を折り返す。さらに後半開始直後、MFアルトゥール・シルバに豪快なミドルシュートを沈められ、0-3と突き放されてしまう。逆転勝利には最低でも3点が必要という厳しい展開。
流れを変えたのは、60分にトップチームデビューを果たした17歳のMF姫野誠だった。中盤での推進力と仕掛けが千葉に勢いをもたらし、71分にFWカルリーニョス・ジュニオ、77分にMFエドゥアルドが連続ゴールを決め、ついに1点差へと詰め寄る。そして83分、姫野が味方のヘディングパスを胸でトラップし、ドリブルで最終ラインを突破。キーパーとの1対1を冷静にループシュートで沈め、劇的な同点ゴールをマークした。さらに千葉は終盤に1点を加え、スタジアムの空気を揺らす大逆転を遂げた。
“フクアリ劇場”にふさわしい大逆転勝利で決勝に駒を進めた千葉。ここでは、奇跡の立役者となった17歳・姫野誠の試合後インタビューや、そのプレースタイルについて紹介する。

“フクアリの奇跡”とは?
“フクアリの奇跡”と呼ばれるきっかけは、2008年12月6日にフクダ電子アリーナで行われたJ1最終節のFC東京戦(4-2)にさかのぼる。負ければJ2降格確定、引き分けでも他会場の結果次第では降格となり得る厳しい状況の中、千葉は39分と53分に失点を喫し、0-2と苦しい展開に追い込まれた。時計が進み、後半も終盤に差し掛かったその時、伝説が幕を開けた。
74分にFW新居辰基のゴールで1点を返すと、77分にはMF谷澤達也が同点ゴールを奪取。続く80分にはFWレイナウドがPKを沈め、さらに85分には再び谷澤がネットを揺らした。わずか11分間で4得点を叩き出す怒涛の猛攻で、千葉は大逆転勝利を収めJ1残留をつかみ取った。これが“フクアリの奇跡”と称される所以である。
そして今季PO準決勝の大宮戦でも、わずか16分で3点差を覆し、4得点を挙げる驚異的な逆転劇を披露した。まさしく17年ぶりに“フクアリの奇跡”が起こったといっても過言ではないだろう。
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