大分トリニータは11月23日に行われた明治安田J2リーグ戦で、ジェフユナイテッド千葉に0-1と敗北。J3降格を免れたとはいえ、下位に低迷した今季の戦いぶりにファン・サポーターは不満を溜めているなか、今季ホーム最終戦における小澤正風代表取締役社長の振る舞いが物議を醸している。
千葉戦では試合後に今季ホーム最終戦のセレモニーを開催。選手、監督、コーチングスタッフとともに、小澤社長もピッチに姿を現し、「プレーオフ進出、J1昇格という目標には程遠い結果となっておりますこと、クラブを代表してお詫び申し上げます」などとファン・サポーターにむけてメッセージを発した。
小澤社長につづき、竹中穣監督、元日本代表MF清武弘嗣がスピーチを行った後、スタジアムで「それではこれより監督、選手、スタッフが場内をラウンドいたします」というアナウンスがあったが、同社長は監督、選手、スタッフの列に加わることなく、そのままメインスタンド側の観客席裏へと下がったのだ。
J1昇格を逃し、J2残留争いに巻き込まれただけに、小澤社長がそのまま場内を一周したら、ホームゴール裏など一部サポーターからブーイングを浴びた可能性は高い。それだけに、同社長が場内を一周しなかった背景にはブーイングを避ける目的があったと考えられる。結果として直接ファン・サポーターの声に向き合わなかったと捉えられる行為を受けて、一部からは社長交代論も湧き起こっている。
今回の一件は、成績不振そのもの以上に、クラブとサポーターとの間に生まれつつある“信頼の揺らぎ”を象徴していると言える。勝てない苦しさを共有するためには、結果だけでなく、その過程において示される姿勢こそが問われる。小澤社長がブーイングを恐れたか否かにかかわらず、クラブのトップがサポーターと直接向き合う機会を逸したことは、今季の不満や不安をより大きく見せる結果となった。来季に向けて、クラブがまず取り組むべきは信頼回復のための誠実な姿勢であり、トップ自らがチームとともに苦境を分かち合う覚悟を示せるかどうかが問われている。
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