
11月8日、味の素フィールド西が丘(東京都)で第104回全国高校サッカー選手権大会・東京都2次予選Aブロック準決勝が行われた。第1試合では、昨年のAブロック覇者である帝京高校と、同Bブロック覇者・堀越高校が激突。
なかでも注目を集めたのは、2026シーズンからFC今治(J2)への加入が内定している帝京MF久保恵音(3年)と、昨年度の全国高校サッカー選手権大会で2年生ながら得点王に輝いた堀越FW三鴨奏太(3年)、ともに「10番」を背負う両エースのプレーだった。
ドリブルとテクニック、スピードを兼ね備えた久保に加え、抜群の攻撃センスでチームを牽引するFW宮本周征(3年)らを要する帝京が下馬評では有利とされていた。しかし堀越の佐藤実監督は「帝京の攻撃のキーマンである久保くんと宮本くんをどう止めるかがポイントだった」と語り、試合前に徹底した対策を練ってこの一戦に臨んでいた。
試合は前半3分にMF杉村充輝(3年)のゴールで堀越が先制する展開に。帝京も前半7分にMF杉岡侑樹(3年)が押し込んで同点に追いつくと、勝ち越しを狙う帝京は久保にボールを集め、左サイドからチャンスを構築を試みる。しかし、この日スタメンに抜擢された堀越1年生のDF山下聡太が徹底的に久保を潰し自由を与えなかった。ボールロストを恐れずにつなぎ、チャンスを構築していた堀越は、32分に流れの中からオウンゴールで勝ち越しに成功。前半は2-1と堀越リードで折り返した。
後半も堀越DF陣は集中を切らさず、山下を中心に最後まで帝京の猛攻を耐え抜いた。この奮闘も光り、1点差を守り切った堀越が決勝へと駒を進めた。試合後、帝京のアタッカー陣を封じ込めた1年生DF山下に、守備が機能した要因やスタメン抜擢の経緯などを詳しく訊くことができた。

スタメン抜擢「すごく緊張していた」
出場時間はわずか数分のみだった山下。数日前に佐藤監督からスタメン起用を告げられたという。「試合前はすごく緊張していました。相手は帝京さんという強いチームでしたし、どこまでできるか心配でした」と胸中を明かした。
しかし、その不安を払拭するかのように、来年プロ入りする帝京MF久保に対してほとんど突破を許さない堂々としたプレーを披露した。「前半の序盤に帝京さんのキーマンである10番の選手からボールを1回取ることが出来たんです。自分のプレーが通用すると思った瞬間でした」。そう語った1年生プレーヤーはその後何度も帝京のチャンスを芽の段階でつぶし、堀越守備陣の柱として機能した。
山下の1列前でプレーしていた3年生の杉村も「山下と一緒にプレーしていてやりやすかった」と太鼓判を押す。佐藤監督も「聡太は相手の攻撃陣にほとんど仕事をさせていなかったし、すごく効いていた。マークの受け渡しで違う選手がきても相手選手と入れ替わるシーンなどはほとんどなかったし、完璧だったんじゃないのかな」とこの日のパフォーマンスを高く評価した。
後半終盤には帝京が猛攻を仕掛けたが、山下はここでもロングボールを次々と跳ね返し、2-1で試合を締めくくることに成功。
苦しい時間帯に何を心掛けていたのか尋ねると「帝京高校はすごく力のあるチームで、絶対にこのまま終わる高校ではないと思っていました。押し込まれてすごくつらかったですけど、“ここを耐えれば一本こっちにチャンスが巡ってくる”と思っていました。追加点は入りませんでしたけど、必死に皆で一つになって守ることが出来たのでそこは良かったと思います」と振り返った。
さらに、帝京の強力アタッカー陣を抑えられた要因については、冷静にこう分析した。「1対1の守備は得意な方ではあったんですけど、ドリブルが上手い先輩がいるので、練習で力がついたのかなと思います。そういったところでは、今日の一発勝負の試合で力が発揮できたのかなと思います」。
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