Jリーグ

2025戦国J2リーグ。悲願のJ1昇格を果たすのはどのクラブか

徳島ヴォルティス 写真:Getty Images

徳島ヴォルティス

リーグ最少失点を武器に、自動昇格圏を狙う

大宮と同じ勝ち点38ながら、得失点差で6位につける徳島は、自動昇格圏である2位以内を視野に入れている。最大の強みは、リーグ最少となる失点13の堅守。この鉄壁の守備陣が、安定して勝ち点を積み上げる土台となっている。

一方で、攻撃面には課題が残る。総得点23は上位6チームの中で最も少なく、リーグ全体でも下位に位置する。エースFWルーカス・バルセロスの7得点がチームの約3割を占めており、彼への依存からいかに脱却できるかが鍵となる。

Jリーグ公式データによれば、ホームの鳴門・大塚ポカリスエットスタジアムでの勝率は45%、アウェイでは38%。昇格争いを勝ち抜くには、ホームでの確実な勝利に加え、アウェイでもいかに勝ち点を積み上げられるかが問われる。

とりわけ、サマーブレイク明け2戦目となる8月10日のアウェイ仙台戦は、昇格を占う重要な一戦となる。リーグ最少失点という強みを活かしつつ、攻撃の形を広げられれば、悲願のJ1自動昇格が現実味を帯びてくるだろう。


ジュビロ磐田 写真:Getty Images

ジュビロ磐田

新旧戦力の融合でプレーオフ圏内へ、J1への道をこじ開ける

2022シーズン以降J1とJ2を行き来している磐田は、現時点で7位につけ、J1昇格プレーオフ圏内を虎視眈々と狙う。リーグ2位タイの36得点という数字が示す通り、攻撃的なサッカーを志向する一方で、28失点と守備面に課題を抱えており、試合ごとのパフォーマンスに波があるのが実情だ。

昨季まで主力として活躍していたジャーメイン良の移籍によって生まれた得点源の空白を埋めるべく、FWマテウス・ペイショットが攻撃陣の柱として期待を集める。また、今季途中に名古屋グランパスから期限付き移籍で加入したMF倍井謙は、卓越したドリブルで局面の打開役として存在感を放ち、セレッソ大阪から新加入のMF為田大貴も複数ポジションで柔軟に対応するなど、攻撃陣には多彩な顔ぶれがそろう。

守備陣では、日本代表として国際経験も豊富なGK川島永嗣がゴールマウスを守り、チームに安定感をもたらしている。さらに、夏の移籍市場ではMFグスタボ・シルバ、MF井上潮音、FWポラメート・アーウィライを補強。攻守にわたって戦力の底上げを図り、J1昇格に向けた強い意志がうかがえる。

今後のカギは、守備組織の再整備と試合運びの安定にある。個の力だけでなく、組織としていかに粘り強く戦えるかが問われる。ベテランの経験と若手の勢いを融合させ、過酷な夏場を乗り越えることができれば、J1昇格への道は大きく開けてくるはずだ。


V・ファーレン長崎 写真:Getty Images

V・ファーレン長崎

悲願のJ1へ、圧倒的な攻撃力で挑む

昨2024シーズン、J1昇格プレーオフで涙を飲んだ長崎。今季は自動昇格、さらにはJ2リーグ優勝を目指し、下平隆宏監督体制2年目をスタートさせた。

ボールを保持し主導権を握るスタイルが完全に浸透し、リーグ最多の得点数(39得点)を誇る攻撃力は、他クラブにとって大きな脅威となっている。中でも、FWフアンマ・デルガドとFWエジガル・ジュニオの2トップは高さと決定力を兼ね備え、シンプルなクロスからでもゴールを脅かす存在だ。加えて、中盤の司令塔MFマテウス・ジェズス、ドリブル突破が武器のMFマルコス・ギリェルメなど、J2の水準を超えるタレントが揃う。

しかし、昇格争い本命として研究され尽くす中、前半戦では想定外の取りこぼしも多く、6月に下平監督は解任。後任として、クラブOBで元日本代表FWでもある高木琢也氏が、クラブCRO(クラブ・リレーションズ・オフィサー)職から7年ぶりに監督に復帰した。高木監督は2013〜2018年に長崎を率い、2017年にはクラブ初のJ1昇格を成し遂げた実績を持つ。

今回の監督交代は、クラブが昇格へのラストスパートを見据えた決断といえるが、鍵となるのはやはり選手層の厚みと主力のコンディション管理だ。攻撃力に秀でる反面、前がかりな戦い方が裏目に出てカウンターから失点を喫する試合もあり、試合運びや守備面での安定感が問われる。

今季開幕前には、元日本代表MF山口蛍を筆頭に大型補強を実施。クラブの本気度はかつてなく高い。サポーターの期待に応え、2024年開業の新スタジアム「PEACE STADIUM Connected by SoftBank」でのJ1昇格を果たすことができれば、クラブ史に新たな1ページを刻むことになるだろう。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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