
徳島ヴォルティス
リーグ最少失点を武器に、自動昇格圏を狙う
大宮と同じ勝ち点38ながら、得失点差で6位につける徳島は、自動昇格圏である2位以内を視野に入れている。最大の強みは、リーグ最少となる失点13の堅守。この鉄壁の守備陣が、安定して勝ち点を積み上げる土台となっている。
一方で、攻撃面には課題が残る。総得点23は上位6チームの中で最も少なく、リーグ全体でも下位に位置する。エースFWルーカス・バルセロスの7得点がチームの約3割を占めており、彼への依存からいかに脱却できるかが鍵となる。
Jリーグ公式データによれば、ホームの鳴門・大塚ポカリスエットスタジアムでの勝率は45%、アウェイでは38%。昇格争いを勝ち抜くには、ホームでの確実な勝利に加え、アウェイでもいかに勝ち点を積み上げられるかが問われる。
とりわけ、サマーブレイク明け2戦目となる8月10日のアウェイ仙台戦は、昇格を占う重要な一戦となる。リーグ最少失点という強みを活かしつつ、攻撃の形を広げられれば、悲願のJ1自動昇格が現実味を帯びてくるだろう。

ジュビロ磐田
新旧戦力の融合でプレーオフ圏内へ、J1への道をこじ開ける
2022シーズン以降J1とJ2を行き来している磐田は、現時点で7位につけ、J1昇格プレーオフ圏内を虎視眈々と狙う。リーグ2位タイの36得点という数字が示す通り、攻撃的なサッカーを志向する一方で、28失点と守備面に課題を抱えており、試合ごとのパフォーマンスに波があるのが実情だ。
昨季まで主力として活躍していたジャーメイン良の移籍によって生まれた得点源の空白を埋めるべく、FWマテウス・ペイショットが攻撃陣の柱として期待を集める。また、今季途中に名古屋グランパスから期限付き移籍で加入したMF倍井謙は、卓越したドリブルで局面の打開役として存在感を放ち、セレッソ大阪から新加入のMF為田大貴も複数ポジションで柔軟に対応するなど、攻撃陣には多彩な顔ぶれがそろう。
守備陣では、日本代表として国際経験も豊富なGK川島永嗣がゴールマウスを守り、チームに安定感をもたらしている。さらに、夏の移籍市場ではMFグスタボ・シルバ、MF井上潮音、FWポラメート・アーウィライを補強。攻守にわたって戦力の底上げを図り、J1昇格に向けた強い意志がうかがえる。
今後のカギは、守備組織の再整備と試合運びの安定にある。個の力だけでなく、組織としていかに粘り強く戦えるかが問われる。ベテランの経験と若手の勢いを融合させ、過酷な夏場を乗り越えることができれば、J1昇格への道は大きく開けてくるはずだ。

V・ファーレン長崎
悲願のJ1へ、圧倒的な攻撃力で挑む
昨2024シーズン、J1昇格プレーオフで涙を飲んだ長崎。今季は自動昇格、さらにはJ2リーグ優勝を目指し、下平隆宏監督体制2年目をスタートさせた。
ボールを保持し主導権を握るスタイルが完全に浸透し、リーグ最多の得点数(39得点)を誇る攻撃力は、他クラブにとって大きな脅威となっている。中でも、FWフアンマ・デルガドとFWエジガル・ジュニオの2トップは高さと決定力を兼ね備え、シンプルなクロスからでもゴールを脅かす存在だ。加えて、中盤の司令塔MFマテウス・ジェズス、ドリブル突破が武器のMFマルコス・ギリェルメなど、J2の水準を超えるタレントが揃う。
しかし、昇格争い本命として研究され尽くす中、前半戦では想定外の取りこぼしも多く、6月に下平監督は解任。後任として、クラブOBで元日本代表FWでもある高木琢也氏が、クラブCRO(クラブ・リレーションズ・オフィサー)職から7年ぶりに監督に復帰した。高木監督は2013〜2018年に長崎を率い、2017年にはクラブ初のJ1昇格を成し遂げた実績を持つ。
今回の監督交代は、クラブが昇格へのラストスパートを見据えた決断といえるが、鍵となるのはやはり選手層の厚みと主力のコンディション管理だ。攻撃力に秀でる反面、前がかりな戦い方が裏目に出てカウンターから失点を喫する試合もあり、試合運びや守備面での安定感が問われる。
今季開幕前には、元日本代表MF山口蛍を筆頭に大型補強を実施。クラブの本気度はかつてなく高い。サポーターの期待に応え、2024年開業の新スタジアム「PEACE STADIUM Connected by SoftBank」でのJ1昇格を果たすことができれば、クラブ史に新たな1ページを刻むことになるだろう。
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