Jリーグ 清水エスパルス

J1で6月勝利なしの清水浮上のカギは。気付けば降格圏と勝点8差

マテウス・ブエノ 写真:Getty Images

新外国人選手の補強

柏戦では、相手チームの個人技やフィジカル、さらに戦術が清水を圧倒した。反面、チームのエースであるMF乾貴士の個人技は封じられた。清水は、攻撃の軸となり得るストライカーや、中盤を支配できるプレーメーカーの獲得が急務だろう。

清水の戦力強化において、外国人選手の補強は1つの鍵となる。過去、清水ではFWドウグラス(2018-2019)のような、シーズン途中加入の外国人選手がチームに大きな好影響を与えた前例がある。J1リーグでは、外国人選手の質が試合の勝敗を左右することが多い。現在のチームには、試合を決定付けるようなインパクトを持つ外国人選手が不足している。

ただし、外国人選手の補強には課題もある。まずは予算の問題だ。ビッグクラブほどの資金力を持たない清水は、高額な移籍金や年俸を支払うことは難しい。また、選手の適応力も重要なポイントだ。言語や文化の違い、Jリーグの独特な戦術やスピードに適応できない選手も少なくない。過去の成功例を参考にスカウティングを強化し、チームの戦術にフィットする選手を見極める必要がある。

例えば、現在清水に所属するMFマテウス・ブエノは、ブラジル時代(コリチーバ/2019-2021、グアラニ/2023-2025)は1部リーグの経験はなく、1部初挑戦はポルトガルのジル・ヴィセンテ(2021-2023)時代のみ。決して「大物助っ人」として期待されていたわけではなかったが、日本の水が合っていたようで、J1前半戦ではベストイレブン級の活躍ぶりだった。こうした「眼力」が今の清水にはある。

さらに、補強のタイミングも重要だ。夏の移籍市場(7月7日~8月20日)での迅速な動きが求められるが、ケガ人の復帰時期やチームの戦術変更の進捗を見ながら、適切な選手を獲得する必要がある。外国人選手の補強が成功すれば、攻撃力向上に繋がる可能性が高い。


秋葉忠宏監督 写真:Getty Images

勝ち点3がマストとなる戦いへ

清水が降格圏との勝ち点差8ポイントを跳ね返しJ1残留を果たすためには、上述の通り、まずはこれ以上のケガ人を出さないための見直し、選手層の薄さの解消、外国人選手の補強が重要と言える。

外国人選手の補強は、チームの戦術に合った選手を選ぶことが重要だが、FW北川独りに頼り切りだった点取り屋や、DF高橋の穴を埋めるセンターバックを優先的に獲得すべきだろう。既に噂レベルでは外国人FW補強が囁かれているが、反町康治GMをはじめとしてスカウティングの精度を高め、コストパフォーマンスの高い選手を見極めることが成功の鍵となる。

加えて、秋葉監督は試合ごとに戦術の柔軟性を高め、選手の特性を最大限に活かす布陣を模索する必要がある。ケガ人の影響でチーム内に動揺が広がる中、結束力を高めるリーダーシップが求められる。高橋の復帰をモチベーションにチーム一丸となって戦う姿勢が重要であり、このあたりの選手への働き掛けは、モチベーターでもある秋葉監督の手腕に期待したいところだ。

清水はこの後、7月5日の第23節町田ゼルビア戦(町田GIONスタジアム)、7月16日の天皇杯3回戦、湘南ベルマーレ戦(レモンガススタジアム平塚)を挟んで、7月20日の第24節には、4月9日の第9節で苦杯を喫した横浜FCをホームで迎え撃つ。後半戦で、巻き返しを図るためには勝ち点3がマストとなる戦いだ。町田戦と横浜FC戦で勝ち点6を上積みできれば、この試練も乗り越えるだけではなく、チームとして一皮剥ける可能性は十分にある。

Jリーグにおける「オリジナル10」としての歴史があり、J2時代にはサポーターが敵地のスタジアムをジャックするほどの人気を誇る清水。しかし現在その立ち位置は、J1復帰1年目のチャレンジャーだ。清水浮上のカギは、秋葉監督以下、選手たちがその自覚を持つことと、短期的な結果ばかりに意識するだけではなく長期的視点での改革に着手することだろう。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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