
ABEMA:カタールW杯全無料配信で知名度上昇
2022年のFIFAワールドカップ(W杯)カタール大会の全試合無料配信で知名度を上げ、スポーツ中継にも力を入れているABEMA。スカパーのサブライセンスを受け、2024/25シーズンにブンデスリーガの毎節1試合を無料配信し、日本人選手の試合を中心に好評だった。スカパー撤退に伴い2025/26シーズンの配信は未定だが、ブンデスリーガの配信ノウハウを持つ。
ABEMAの無料配信モデルは新規視聴者獲得に有効で、広告収入による収益化が強みだ。プレミアムプラン(月額960円/2024年11月以降は広告なしプランが1080円、広告付プランは580円)は見逃し配信にも対応している。
ABEMAを運営する株式会社AbemaTVの社長は、町田ゼルビアのオーナーでもある藤田晋氏だ。カタールW杯の放映権を買ったことで、配信プラットフォームとしての存在感を高めた。しかし、そうした大型投資の影響もあり、親会社であるサイバーエージェントのメディア事業は2023年9月期第1四半期に約93億円の営業赤字を計上した。
よって、ABEMA単独での独占放映権獲得は資金面で難しく、無料配信の試合数拡大には限界があると予想する。他社との提携やサブライセンス提供が現実的だが、全体の試合数をカバーできるかには疑問が残る。

Amazonプライムビデオ:圧倒的な資金力と配信インフラ
Amazonプライムビデオも、2024/25シーズンにスカパーのサブライセンスで「ブンデスリーガLIVE」(月額2,350円)を提供し全試合を配信。プライム会員(年額5,900円または月額600円)向けの低価格オプションとして人気を集めた。海外ではプレミアリーグや欧州CLの配信実績もある。
Amazonの資金力と配信インフラは圧倒的で、これまでの実績から見て放映権料を負担できる体力がある。プライム会員向けの統合サービスとして提供すれば、コストパフォーマンスも高い。スマートテレビやFire TV Stickなど、多様なデバイスに対応している点も強みとなる。
一方で、スポーツ配信に積極的だが、MLB(メジャーリーグ)やプロ野球、モータースポーツ、ボクシングのイメージが強く、日本でのサッカー中継はまだ馴染みがない。ブンデスリーガ全試合の独占配信には、新たなプランの設定が迫られる可能性がある。サッカーコンテンツへの本気度が不明なため、参入の可能性はそう高くはないのではないだろうか。

Disney+:“大穴”として挙げたい
“大穴”として挙げたいのは、Disney+(ディズニープラス)だ。映画やドラマに強みを持ち、アメリカでのスポーツ配信ではESPN+(イーエスピーエヌ・プラス)と相乗りする形でWNBA(アメリカ女子バスケットボールのプロリーグ)を放送している。
日本では月額990円で豊富なコンテンツを提供しており、サッカー中継参入で新たな市場の開拓が可能だ。本国アメリカでのESPNとのノウハウを共有できれば、高品質な配信が期待できるだろう。インドではプレミアリーグ中継契約を結び、サッカー配信のノウハウがないわけではない。
しかしながら、日本でのスポーツ中継の実績は皆無だ。インフラは未整備で、ゼロからの参入はハードルが高い。ブンデスリーガ放映権獲得には大規模な投資と戦略変更が必要だろう。しかし“先行投資”として獲得競争に参戦する可能性はゼロではない。
かつて欧州サッカー中継のパイオニアだったスカパー!の撤退は、欧州サッカーの放映権獲得競争が激化し、放映権料が青天井となってしまったことを知らしめるトピックだった。2025/26シーズンのブンデスリーガの放映権を巡る争いの予想は、U-NEXTとDAZNがややリードする形だが、ABEMAやAmazonの動向も注目される。
ファンとしては「視聴料金」「配信試合数」「視聴環境」が重要だ。また、全試合配信は当然のこと、無料配信やハイライト番組の制作も求めたいところだ。どのプラットフォームで実現するのか、ファンは固唾を飲んで見守っている。
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