CL/EL パリ・サンジェルマン

PSGでCL制覇のルイス・エンリケ監督は、W杯失敗から何を学んだのか

ルイス・エンリケ監督 写真:Getty Images

2024/25シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ(CL)6月1日の決勝でパリ・サンジェルマン(PSG)を初優勝に導き、バルセロナ監督時代の2014/15シーズン以来10年ぶり2度目のビッグイヤー(CL優勝トロフィー)を掲げたルイス・エンリケ監督。

エンリケ監督がCL制覇を果たした背景には、2022年スペイン代表監督としてのFIFAワールドカップ(W杯)カタール大会での失敗から学んだ教訓が少なからず影響していると考える。ここでは、エンリケ監督がW杯での課題からどのように学び、CL優勝に繋げたのかを分析する。


ルイス・エンリケ監督 写真:Getty Images

スペイン代表監督としての失態

エンリケ監督は、現役時代はスペインの2強、レアル・マドリード(1991-1996)やバルセロナ(1996-2004)でプレーし、1992年のバルセロナ五輪ではU-23スペイン代表として同国初の金メダルにも貢献。スペイン代表(1991-2002)でも活躍した。

引退後は2008年にバルセロナのBチーム(2008-2011)から指導者キャリアをスタートさせ、ローマ(2011-2012)、セルタ・デ・ビーゴ(2013-2014)で経験を積み、2014年に古巣バルセロナの監督に就任。ラ・リーガ優勝2回、コパ・デル・レイ優勝3回、2014/15シーズン欧州CLも制し、名監督の仲間入りを果たしたかのように見えた。

満を持してスペイン代表監督に就任したのが2018年。骨肉腫を患った愛娘のシャナさん(2019年死去)の療養のため、一時アシスタントコーチだったロベルト・モレノ氏にその座を譲ったが、8か月後に復帰。2020年のUEFA欧州選手権(新型コロナの影響で2021年に開催)では準決勝で、優勝したイタリア代表にPK戦で敗れたが4強入りを果たしたことで、優勝候補の一角として2022年のカタールW杯に臨む。

しかし、エンリケ監督が率いるスペイン代表は同大会で失態を冒す。初戦のコスタリカ代表戦は7-0で大勝したが、ドイツ代表戦では1-1の引き分け、第3戦の日本代表戦では先制しながらMF堂安律(現フライブルク)とMF田中碧(現リーズ・ユナイテッド)に連続得点を許し1-2の逆転負け。グループステージ1位の座を日本に譲り、辛くも得失点差でグループステージを突破すると、決勝トーナメント1回戦でモロッコ代表を相手に0-0でPK戦の末に敗退した。

同大会のスペイン代表選出については国民から疑問の声が上がっていた。エンリケ監督は、当時バルセロナでベンチを温めることが多くなっていたDFジョルディ・アルバやDFエリック・ガルシアをメンバー入りさせた一方で、好調をキープしていたMFブライス・メンデス、MFミケル・メリーノ(ともに当時レアル・ソシエダ)、MFセルヒオ・カナーレス(当時レアル・ベティス)、長らく代表の精神的支柱だったDFセルヒオ・ラモス(当時PSG)もメンバーから外したのだ。

その“クセ強”な選手選考は議論を呼び、ユニフォームの色から取ったスペイン代表のニックネーム「La Roja(赤)」ではなく「FCルイス・エンリケ」と皮肉るスペインメディアも現れた。

エンリケ監督は当時からマスコミ嫌いで知られ、メディアとの関係も悪く、PSGの監督を務める今でも「給料の25%から50%が減らされる代わりにメディアと話さなくていい契約があるなら、私は今すぐサインする」とうそぶくほどだ。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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