
FC今治「地域の誇り」「持続可能性」
今2025シーズンからJ2で戦うFC今治は、元日本代表監督の岡田武史氏がオーナーを務め、民設民営によって建てられた「アシックス里山スタジアム」をホームとしている。FC今治のアイデンティティーは、「地域の誇り」と「持続可能性」だ。
スタジアムは、SGDsに配慮した設計で、試合のない日でも市民に開放され憩いの場を提供している。地元の小学生向けサッカースクールや農業体験イベントを開催し、地域の子どもたちに夢を与えている。
サッカースタイルはテクニカルで攻撃的な「岡田メソッド」を基盤としているが、岡田氏自身は縁もゆかりもない今治のオーナーに就任する際、その本気度を周囲に示すため、S級コーチライセンス(現Proライセンス)を更新せず、退路を断った上で本業に専念した。
サポーターは連絡協議会を結成し、サッカーの応援だけでなく地域全体を盛り上げる活動をしている。FC今治は、Jリーグ参入を目指す「百年構想クラブ」の好例として、地域との深い結びつきを示している。

各クラブが地域社会の「家族」に
横浜F・マリノスは、港町横浜の海とカモメをイメージしたトリコロールのユニフォームで知られ、「横浜の誇り」を体現している。モンテディオ山形は、奥羽山脈を背景に、地元の農産物を活用したイベントで地域を盛り上げている。
その他Jリーグの60クラブが、ホームタウンの文化や歴史を反映したデザインや活動を通じて、ファンとの一体感を育んでいる。
明治安田生命は「全員がサポーター」を合言葉に、従業員や地域住民と連携したボランティア活動や試合観戦イベントを全国で展開し、クラブと地域の絆を強化。また、JリーグはU-21選手の出場機会を増やすルールを導入し、若い世代の育成を通じて地域の未来を支えている。これらの取り組みは、クラブが地域社会の「家族」として機能する基盤となっている。
アイデンティティーを強固にした試練
Jリーグの歴史は、試練と進化の連続だった。1999シーズンの2部制導入、2014シーズンのJ3創設と拡大路線を図る一方、2020シーズン以降のコロナ禍での試合中止など多くの課題に直面した。しかしこれらの試練が、クラブのアイデンティティーをより強固にした。
1998年には横浜フリューゲルスの消滅という悲劇が起き、サッカーファンに深い悲しみを与えたが、その精神は横浜F・マリノスと横浜FC双方に受け継がれている。
コロナ禍では多くのクラブがオンラインイベントや地域支援活動を展開。ガンバ大阪は、医療従事者への寄付キャンペーンを行い、地域との絆を深めた。こうした活動は、Jリーグが単なるスポーツリーグを超え、社会的役割を果たす公器であることを示した。
多様でありながら、共通の理念で繋がる
2025年、Jリーグはさらなる進化を目指している。デジタル技術を活用したファンエンゲージメントの強化や、WEリーグを中心とした女子サッカーの振興、アジアのクラブとの交流も活発になっている。Jリーグ加盟を目指す「百年構想クラブ」も増え、新たなアイデンティティーが生まれつつある。
また、環境問題にも取り組んでいるJリーグ。スタジアムでのリサイクルや、地域の清掃活動を通じて、持続可能な未来を描いている。各クラブは、AIやVRを活用した観戦体験の提供や、eスポーツとの連携を通じて、若い世代を引き込む施策を行っている。これらの挑戦は、Jリーグが社会の進化に適応しつつ、60クラブの多様なアイデンティティーをさらに輝かせるだろう。
Jリーグの60クラブは、それぞれ異なる歴史、文化、目標を持ちながら、共通の理念で繋がっている。鹿島の勝利への執念、川崎の絆、いわきの復興への希望、今治の里山の誇り…。これらのストーリーが、Jリーグの多様性を織り成しているのだ。
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