その他 Jリーグ

Jリーグ情報番組7選。何が面白い?短命に終わりそうなものは?

中川絵美里氏 写真:Getty Images

『Jリーグタイム』(NHK BS)

2003年に放送開始された『速報!Jリーグ』を源流に、2006年から『Jリーグタイム』の名称となり、来年には20年目を迎えようとするJリーグ情報番組の老舗と言える。

シーズン中はJ1中心だが、代表ウィークでJ1の試合がない週にはJリーグウォッチャーを自称するタレントの平畠啓史氏を迎え「J2スペシャル」「J3スペシャル」といった特集や、代表戦はもちろん、ACL(AFCアジアチャンピオンズリーグ)も網羅したNHKらしい編成で、安心して見ていられるダイジェスト番組だ。

オフシーズンには「ウィンタースペシャル」が放送されるのもファンとしては嬉しいポイント。週替わりの解説陣も元日本代表選手が揃い、充実した内容となっている。

2017年2月から4年10か月もの長きにわたりキャスターでタレントの中川絵美里氏がMCを務め視聴者から人気を博していたが、2021年に降板。その後、フリーアナウンサーでタレントの高階亜理沙氏を経て、昨2024年からは今井美桜氏がMCを務めている。

大人気だった中川氏の降板後ファンの間では「絵美里ロス」とも言える現象が起き、後任MCはその見えない壁に悩まされたと思われるが、当初は硬さも見られた第7代MCの今井氏も2年目を迎え、今では番組の顔となっている。

まさに保守本流を行くJリーグのダイジェスト番組として君臨し、日曜22時50分からの放送にも関わらず、日曜開催の試合もじっくりと見せてくれるところには、NHKの底力を感じさせる。


野々村芳和氏 写真:Getty Images

『KICK OFF!J』(TBS・関東ローカルなど)

JリーグとJFA(日本サッカー協会)が直接、企画・監修し、TBSのみならず地方局とも提携して2022年から放送開始されたJリーグ肝いりのサッカー情報番組。

地方ごとに『KICK OFF ○○(地域名や道県名)』として、それぞれが地元クラブの試合ダイジェストを報じている。扱うクラブが1チームであれば15分番組であることが多いが、多くのクラブを扱う場合30分番組となっている。

元々は、1986年から2014年まで静岡第一テレビで放送された『KICK OFF』をヒントに、静岡出身の野々村芳和チェアマンが復活させた形。それぞれが別内容の番組であり、関東ではTBSで放送されているが、地方では系列に関係なく独自の番組制作がなされている。「キー局」という概念すら超えて、系列を跨いだ斬新なネット番組といえる。

関東ローカルの『KICK OFF!J』は17クラブ、関西ローカルの『KICK OFF!KANSAI』は6クラブの試合を扱う必要があるため、30分という枠の中やや駆け足気味になるが、地方クラブにとっては15分番組とはいえ、サポーターやライトファンも含め、貴重な情報源となっている。

『KICK OFF!J』以外はJリーグ公式YouTubeでの配信により、出身地から離れた都市で暮らすファンも見られる仕組みを取られており、日本全国に広がった60にも及ぶJクラブ(加えてJFLのいわてグルージャ盛岡、北信越リーグの福井ユナイテッドFC)のPRに貢献。“全国47都道府県ネット”となったことで、まずは野々村チェアマンの目論見通りの効果を示しているといえるだろう。


サッカーボール 写真:Getty Images

『サタデーナイトJ』(テレビ東京系)

Jリーグ発足以前からサッカー中継に力を入れていたテレビ東京。特に1968年に放送が開始され、ワールドカップやプレミアリーグ創設前のイングランドリーグ、ドイツのブンデスリーガを放送していた『三菱ダイヤモンドサッカー』は伝説となっている。また、1992年から1994年までは、欧州主要リーグや欧州選手権などを録画中継した『ダイナミックサッカー』も放送されていた。

1993年にJリーグ情報番組として復活した『ダイヤモンドサッカー』だが、2年後にはJリーグから海外サッカーに舵を切ったものの、わずか3年で終了。その後、サッカー報道とは一線を画していたが、2023年、Jリーグのハイライト番組としてスタートしたのが『サタデーナイトJ』だ。

メイン司会には、入社わずか半年の中根舞美アナウンサーが抜擢されたものの、アナウンスに関する基本能力の不足は如何ともしがたく、噛みまくった挙げ句に笑ってごまかすシーンが頻発し、ゲスト解説者にフォローされる始末。しかも彼女の売り文句は「高校時代はサッカー部マネジャー」「大学時代にデータスタジアムでアルバイト」というもの。何かと民放テレビ局の女子アナの質の低下が叫ばれて久しいが、“ここに極まれり”といった印象だ。

今季になって、中根氏のプロフィールに「D級コーチライセンス」が加わったが、2日間の座学と実技を経て簡単な筆記試験に合格すれば手にできる程度のものだ。サッカー番組の司会者として“箔”をつけたかったのだろうが、逆にあざとさを感じさせる。しかもアナウンスの拙さは相変わらずだ。

「サッカーといえばテレ東」も今は昔だ。局側もサッカーに力を入れているところを見せたいのであれば、サッカー番組を新人アナの“研修代わり”にしている場合ではないだろう。視聴者のみならず、ゲスト出演する選手や解説者もさぞかし、ストレスを溜めているのではないだろうか。


勝村政信氏 写真:Getty Images

『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系)

多くのプロ選手を輩出している埼玉県立浦和北高等学校サッカー部OBの俳優である勝村政信氏をメインMCに据え、「サッカーをこの国の文化へ」というテーマの下、2011年の放送開始から今年1月には放送500回を迎えた長寿番組。

『やべっちFC~日本サッカー応援宣言~』(テレビ朝日系)や『スーパーサッカー』(TBS系)といった人気サッカー番組が次々と打ち切りになる中、同番組も一時は関東ローカルに降格するなど苦難の時期を乗り越えながらも、サッカーを軸としたトーク番組であるが故に生き残った。その思いは、ゲストに元日本代表MF中田英寿氏を迎えた際、勝村氏自身が正直に告白している。

ゲストには他スポーツの選手のみならず、学者や文化人など幅広く、様々な角度からサッカー界の発展に結びつけている。世界的に見ても、このようなアプローチでサッカーを扱う番組は少ないのではないだろうか。

決して派手さはなく、ダイジェスト番組でもないことから、単純に比較対象にはならないかも知れないが、“マンネリ化”さえ避けられれば、600回、700回と続いていく番組となるだろう。

ページ 2 / 2

名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ、現在のお気に入りはシャビ・アロンソ率いるバイヤー・レバークーゼン

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

筆者記事一覧