
ガンバ大阪VSセレッソ大阪の“大阪ダービー”で幕を開けた2025明治安田Jリーグ。今年も笑いあり涙ありの長いシーズンが始まった。昨シーズンのJ1リーグを19位で終え、9年ぶりにJ2降格となった北海道コンサドーレ札幌は新指揮官に岩政大樹氏を招聘。2月16日にクラサスドーム大分で行われた開幕節に新体制で臨んだ。
大分トリニータとのJ2第1節は、互いに牽制し前半を0-0で折り返すも後半はセットプレーから2失点を喫し、そのまま流れを変えられず0-2の黒星発進となった。ここでは、そんな札幌が1年でJ1復帰を果たすため、克服すべき4つの課題を取り上げる。

FW選手のブレイクが課題克服のカギ
昨シーズンの課題であった得点力不足は今年も重くチームにのし掛かる。2024シーズンのJ1でチームトップタイとなる6ゴールを挙げたFW鈴木武蔵とMF駒井善成がいずれも横浜FCへ移籍。現体制はFWの総数こそ7枚と多いが、どの選手も絶対的エースとして計算が立つ選手ではない。しかし、その中で期待が持てるのは昨夏の大型補強で加入したFW陣である。
注目は、現役シエラレオネ代表のFWアマドゥ・バカヨコやスペイン人FWジョルディ・サンチェス、そしてFW白井陽斗だ。この3選手のブレイクが今年の札幌の昇格を大きく左右するだろう。また、昨季の水戸ホーリーホックで途中加入ながら13試合出場4ゴールとチームのJ2残留に貢献したFW中島大嘉もどこまで存在感を示せるか注目したい。開幕節では、最終ラインからアバウトに前線へ放り込むシーンが目立った札幌。このサッカーを今後も続けるのであれば、前線でタメを作ることができる中島が現時点での岩政サッカーFWとして最適解であると考える。

停滞気味の左サイド
札幌の武器はMF近藤友喜やDF髙尾瑠らをはじめとする右サイドを起点とした攻撃。開幕節でも右サイドを起点に奮闘する姿が見られた。一方で気になったのが左サイドからの攻撃が停滞気味だったこと。左WB(ウィングバック)にはDF中村桐耶、3バックの左にはDFパク・ミンギュが起用されたが、なかなかチャンスを構築できず左のアタッキングサードに入る場面もほとんど見られなかった。
当然、左サイドからチャンスクリエイトするシーンが増えれば相手チームはそこにケアを置く比重が増える。その分右サイドにスペースができ、そこからの攻撃が活性化し相手DFは札幌のサイド攻撃に手を焼くことになるはずだ。そこで筆者が考える左サイドの攻撃の活性化に期待したいプレーヤーが、昨シーズンプロ1年目ながら第3節の町田ゼルビア戦でチーム第1号の得点を記録したMF原康介だ。ルーキーイヤーはJ1リーグで12試合出場2ゴール。開幕戦の帯同メンバーに名を連ねていないものの、持ち味のドリブルやスピードで左サイドを制圧できるポテンシャルを秘めている。
そのほか、独特のボールタッチから個で打開出来るMF青木亮太が左WBを務めても面白いのではないだろうか。今後の試合では左サイドで起用される選手のクオリティが札幌のサイド攻撃を活性化させるためのカギとなるだろう。

守備のキーマンはDF家泉か
昨シーズンまで3バックの中央であるリベロを務めていたDF岡村大八。昨季J1の空中戦勝率で2位と圧倒的存在感で札幌の守備を統率してきたが、今シーズンはJ1の町田ゼルビアへ移籍している。現状、リベロでの1番手に相応しいのは、昨季ボランチで起用される機会が多かったDF大﨑玲央だろうか。開幕節もリベロでスタメン出場を果たしたが、相手選手と入れ替わるシーンやデュエルの強さには物足りなさを感じた。
そんな札幌にも実力者はまだいる。昨シーズンのJ1で12試合に出場し鉄壁の守りを見せたDF家泉怜依である。デュエルの強さや空中戦の強さが持ち味の家泉。開幕戦はベンチスタートだったが、不動のリベロとしてスタメンに定着できれば札幌の守備力が大きく向上するだろう。

露呈した“寄せの甘さ”
大分戦では再三にわたってボールへの寄せの甘さが目立ってしまった札幌。前線からのプレスは積極的に映ったが、自陣ではボールへの寄せが甘いシーンが幾度となく見受けられた。失点したいずれのシーンでもボールウォッチャーとなってしまい、得点したプレーヤーをフリーにしてしまった。マークの受け渡しなど守備での決め事を明確にすることが急務であり、元DFである岩政監督の手腕が試される。
今回は札幌が1年でJ1復帰を果たす為に克服すべき課題を4つ紹介した。なかでも特に深刻なのが「得点力不足」である。昨シーズンとは大きく違うのは、昨夏加入のFW選手が開幕前のキャンプから帯同していることだろう。戦術理解度やチーム内連携が深まれば、一気にブレイクする可能性もある。
岩政体制となってまだ1ヶ月弱ではあるが、開幕戦を観る限り相当厳しいシーズンになることも覚悟しなければならない。とはいえ「継続と継承」を掲げる新体制はまだ始まったばかり。今後の立て直しに期待したい。
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