プレミアリーグ マンチェスター・シティ

無類の得点量産マシン。アーリング・ハーランドのプレースタイル

アーリング・ハーランド 写真:Getty Images

弱冠24歳にして、2024年10月にノルウェー代表歴代最高得点(36試合34ゴール)に到達したFWアーリング・ハーランド。同年9月、所属するマンチェスター・シティでは、史上最速タイとなるクラブ通算100ゴール(105試合)も達成した。記録もさることながら、規格外の身体から繰り出されるダイナミックな動きは圧巻の一言だ。

ここでは、ハーランドの身体能力や攻撃や守備におけるプレーの長所、そしてクラブと代表での戦い方の違いまでをつぶさに観察。なぜ「怪物」や「サイボーグ」と呼ばれるのか、その人間離れしたプレースタイルを徹底分析してみよう。


アーリング・ハーランド 写真:Getty Images

大柄ながらスピードがある

ハーランドは身長194cm、体重88kgの大柄な体格で、ピッチにいると非常に目立つ存在だ。走っているのを見るだけでも迫力満点。しかし長所はサイズだけではない。小手先のテクニックがそこまであるわけではないが、動きの質が抜群なのだ。

大柄ながらスピードがある。しかも、オフサイドラインを破るテクニックも兼ね備えている。スピードを維持しながら一旦、自陣エンドの方に戻るように走りオフサイドをかいくぐる。走力があるため、ウインガーのようにサイドに抜け出してクロスでアシストも可能だ。信じられないかもしれないが、2016年5月に15歳でプロデビューした試合のポジションはウイングだった。

ポストプレーのために自陣に引いてきて、前を向いた状態でスピードに乗っている味方にアシストのパスを出すこともある。そうかと思ったらポストプレーに見せかけて自ら裏に飛び出すから油断ならない。


アーリング・ハーランド 写真:Getty Images

ゴール前の動きが秀逸

ハーランドはゴール前でクロスにワンタッチで合わせてシュートを決めるセンスが高い。ボールが来る前の動きでフリーになるのがうまいので、得点する確率も上がる。また、自分をおとりにして味方を活かす頭脳プレーも得意とする。

ニアサイドに走り込む際は、一旦バックステップで中央に回り込むふりをしてからニアポストに走り込む。また、ニアサイドに走り込むふりをしてバックステップで中央に回り込んでフリーになる動きも見せる。さらに大きく円を描くように走りながらファーサイドにポジションチェンジすることもある。

クロスの際にファーサイドに動いて、そのままファーにボールが来ればマッチアップするのはサイドバック(SB)。SBはセンターバックより小柄な傾向があり、身長差が大きくなる。また、もしボールが中央に来れば助走をつけて、より高く飛び競り勝つといった動きが見られる。

左利きでシュートは左足を好む。そのため、ボールが右側に流れると左足アウトサイドを使う傾向がある。では、左足を消すようにして守ればシュートを防げるかと思いきや、右足でも得点を決められるだけのキックを持っているから悩ましい。

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名前Takuya Nagata
趣味:世界探訪、社会開発、モノづくり
好きなチーム:空想のチームや新種のスポーツが頭の中を駆け巡る。世界初のコンペティティブな混合フットボールPropulsive Football(PROBALL)を発表。

若干14歳で監督デビュー。ブラジルCFZ do Rioに留学し、日本有数のクラブの一員として欧州遠征。イングランドの大学の選手兼監督やスペインクラブのコーチ等を歴任。アカデミックな本から小説まで執筆するサッカー作家。必殺技は“捨て身”のカニばさみタックルで、ついたあだ名が「ナガタックル」。2010年W杯に向けて前線からのプレスを完成させようとしていた日本代表に対して「守備を厚くすべき」と論陣を張る。南アでフタを開けると岡田ジャパンは本職がMFの本田圭佑をワントップにすげて守りを固める戦術の大転換でベスト16に進出し、予言が的中。

宇宙カルチャー&エンターテインメント『The Space-Timer 0』、アートナレッジハブ『The Minimalist』等を企画。ラグビーもプレーし広くフットボールを比較研究。

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